社会保険料の改定時期とその理由にはいろいろあります
社会保険料を計算するときのベースになる額を「標準報酬月額」といいますが、これを改定するタイミングは5つあります。
【資格取得時決定】
新卒や中途採用で会社に採用されたとき、厚生年金保険と健康保険の資格を取得します。当然ですが、雇用契約書等で基本給や各種の手当、通勤手当等が人ごとに明示されます。事業主はこれらの金額と時間外手当の見込み額をベースに標準報酬月額を決定します。なお、1~5月に資格を取得した場合にはその年の8月末まで、6~12月に資格を取得した人は翌年8月末までの標準報酬月額となります。
【定時決定】
原則として7月1日現在に被保険者である人のすべての人を対象にして標準報酬月額を見直します。ただし、6月1日から7月1日に被保険者となった人(採用された等)、7~9月に随時改定や育児休業終了時改定等の対象となる人は対象外です。
定時決定のベースとなるのは、原則として4、5、6月に支払われた報酬の合計を3で割った額をもとに標準報酬月額を決定します。ここで注意が必要なのは、例えば4月分の報酬とは4月1日~30日に実際に支払われた報酬のことで、4月分の報酬ではないということです。月末締め翌月10日払いといった会社では注意してください。ここで決まった標準報酬月額は9月から翌年8月までの標準報酬月額となります。
【随時改定】
報酬に著しい変動があった場合に、資格取得時決定や定時決定で見直しをした標準報酬月額とかけ離れてしまわないよう、一定の要件に該当した場合に見直しが行われます。一定の要件とは以下の①~③をすべて満たす場合です。
➀昇給などにより固定的賃金に見直しがあったこと
②固定的賃金の変動があった月以降の3カ月間の報酬の平均から求まる標準報酬月額と現在の標準報酬月額の差が2等級以上となったとき
③3か月間ともに報酬支払の計算となった日が17日以上あること
なお、1~6月に随時改定をした場合にはその年の8月末まで、6~12月の場合には翌年8月末までの標準報酬月額となります。
【育児休業等終了時改定】
育児休業終了時に3歳未満の子を養育している場合、職場復帰時に時短勤務などで報酬が下がるケースがあります。この場合には、随時改定の条件に該当しなくても改定されるものです。育児休業終了日の翌日が属する月から3カ月間の報酬の平均から求まる標準報酬月額と現在の標準報酬月額の差が1等級でもあれば4か月目から改定されます。なお、1~6月に育児休業等終了時改定をした場合にはその年の8月末まで、6~12月の場合には翌年8月末までの標準報酬月額となります。
【産前産後休業等終了時改定】
産前産後休業終了後にその休業に係る子を養育している場合、時短勤務などで報酬が下がるケースがあります。この場合には、随時改定の条件に該当しなくとも改定されるものです。産前産後休業終了日の翌日が属する月から3カ月間の報酬の平均から求まる標準報酬月額と現在の標準報酬月額の差が1等級でもあれば4か月目から改定されます。なお、1~6月に産前産後休業等終了時改定をした場合にはその年の8月末まで、6~12月の場合には翌年8月末までの標準報酬月額となります。
以上ですが、もっとも馴染みがあるのは7月に全員に対して改定される定時決定です。今年の春、昇給があった人は少し気になるところですね。
2017年05月29日 09:19