標準報酬月額の「定時決定」と「随時改定」
では、この標準報酬月額を決定もしくは改定するタイミングは4つあります
➀資格取得時決定・・・入社して健康保険、厚生年金保険の資格を取得した時
②定時決定・・・年1回9月、原則として全員が対象
③随時改定・・・毎月の給与に大幅な昇・降給があったとき
④育児休業等終了時決定・・・育児休業から復帰したとき
このうち、一般的なものは、②定時決定と③随時改定ですが、それぞれポイントとなる点をいくつか列記します。
【定時決定】
・7月1日時点で被保険者である人、全員が対象
・4月~6月の報酬額の合計を3で割った金額から決定する
・「支払われた報酬総額」であるため、残業手当も含む
変更後の保険料は9月から適用されるため、10月から改定された標準報酬月額から求めた保険料が天引きされます。
【随時改定】
・基本給や職能給といった固定的賃金の変動であること(残業手当を含まない)
・賃金計算の基礎となった日(支払基礎日数)が17日以上あること
・連続する3か月間において、変更前後の標準報酬月額の差が、2等級以上の差があること
このすべての条件を満たすことが条件です。この条件を満たした場合、4ヶ月目から標準報酬月額が改定され、その翌月、つまり給与の変動があった5カ月目から改定された標準報酬月額から求めた保険料が天引きされることになります。
そして、実際によくあるケース。定時決定は、毎年6月になると日本年金機構から「報酬月額算定基礎届」と「算定基礎届総括(調査)表」が届くことで、よほどのことがない限り届出を忘れることはありません。また、仮に提出を忘れてしまっても、後日催促が届くため、故意に放置しない限り問題は置きません。ところが、随時改定は「固定的賃金の変動」「2等級以上」「連続する3カ月」という点を、担当者がもし知らなければ、提出されないままということが起こり得ます。
提出し忘れていた届出を後日提出することで、遡って変更することになります。保険料の差分を追加徴収となった場合、従業員には大きな負担となることも想定されます。また、将来の年金額に影響することもあります。総務の給与担当の方は、固定給の変動には十分に注意をしてください。
※写真は真如堂境内にて、「映画生誕の碑」(京都市左京区)
2018年01月26日 06:25