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2018年10月の記事:ブログ(日々雑感)

街頭無料相談会の相談員を担当しました

八坂の塔(20181011)

昨日の午後、京都府社会保険労務士会主催の、「年金・労務問題無料相談会」の相談員を務めてきました。

 

これは毎年今の時期に京都市内各所で実施されているもので、昨日の場所はゼスト御池の河原町広場にて中支部に所属する社労士が担当として開催されたものです。相談のテーマは、「年金制度・社会保険・雇用保険・労災保険・退職・解雇・賃金問題・セクハラ・パワハラ・その他の労働問題とおおよそ社労士の守備範囲については何でもご相談にのります」ということでした。が、実際に私が対応した5件はすべてが年金に関することでした。障害年金に関することが2件、遺族年金に関することが3件。

 

老齢年金はいったん受給が始まると、その金額が変わることはほとんどありません。多くの人は原則65歳になれば支給が始まり、給与を得ていた人が退職したり、受給開始後に扶養家族に異動があったりした場合を除き、ほぼ定額です。一方、障害年金は受給要件や手続きが非常に複雑です。遺族年金はそもそも自分が亡くなったとき、誰がいくらくらいもらえるのかをはっきり知らない人がほとんど。昨日の相談が障害、遺族年金に偏ったのはそういった面もあるのかもしれません。

 

何より相談員としては、会話の中でいろいろと事情を伺って、相談の主旨を理解して分かりやsくお応えするという点でいい経験になりました。街角相談の場合、ご本人が相談内容についてこちらが欲しい情報を何かの形で持参されるということはまずあり得ません。例えば年金相談であれば、年金定期便であったり、受給中の人であれば年金額の通知書など。よって、お話ししながらこういった情報を得る、あるいはざっくりと概算を想定する必要があります。こういった情報をどうやってお話ししていただくか、昨日はこの点で苦労しましたが、とても勉強になりました。

 

会社員時代に、生命保険についてのプロの説明方法を体感したくて、大阪市内の地下街でよくある街角の相談ルールに飛び込んだことがあります。さすがに他の支部の先生が担当される相談会に行くことはできませんが、もっとうまく対応できるようなトレーニング、どうすればいいんでしょうね。この仕事をしていると「人とうまく話して、分かり易い説明をする」というのは永遠のテーマです。

 

 

2018年10月11日 07:07

働き方改革で来年4月から始まること

三千院境内にて(20181010)

働き方改革により今後いろいろな制度が導入されますが、来年4月から事業所の大小にかかわらず適用される制度があることをご存知ですが。

 

それは、年休の取得を確実にするための制度、言い換えると有給休暇の強制取得制度です。現在の年休取得についてのルールには、労働者が自分の意思で取得する時季できる時期指定権と、場合によっては事業主がその時季を変更できる時季変更権、事業主が5日間を限度に取得する時季をあらかじめ指定できる計画的付与があります。これに加えて強制取得制度として、事業主は毎年5日間は時季を指定して年休を与えなければならないとするものです。

 

その対象となるのは、年間10日以上の年休が付与される労働者で、与えなければならないとされる5日間には、労働者が時季指定して取得した日や、計画的付与として取得された日数も含まれます。通常、雇入れから6ヶ月間継続勤務し、その間の8割以上出勤した場合に、10日間の有給休暇が発生します。その後は継続勤務年数によって毎年10~20日が付与されることになります。また、週の所定労働日数が1~4日の労度者に対しては継続勤務年数によって毎年1~15日が付与されるため、パートタイマーやアルバイトも「年間10日以上の年休が付与される労働者」に該当すればその対象となります。

 

この年休取得の義務化でもっともインパクトがあるのは、罰則規定があること。もしこれに違反して対象となる労働者に5日分の年休の取得時季を指定しなかった使用者には、労働者一人当たり30万円の罰金が課されることになります。仕事一筋で全く年休を取得しない労働者がいたとしても、使用者の「本人が取得しないので」という主張は通用しません。使用者は年休を与えなければならないとされているのがこの制度のポイントです。また、この有給休暇の取得状況を確実に把握し記録しておくため、使用者には年休管理簿(休暇台帳)の備付えが義務化されています。

 

零細な事業場では、「そんなに休まれたら仕事にならない」という声も聞こえてきます。私も顧問先から相談を受けますが、仕事の仕方や従業員の勤務ローテーションの見直し等で対応できるケースもあります。まずは今の勤務状況や年休の取得状況を把握して、どう対応できるかから考えてみてはどうでしょうか。

 

 

2018年10月10日 06:38

皆さんの会社にとって管理職とは望まれる仕事ですか

六道珍皇寺(2181009)

最近目にしたあるニュースにこんなものがありました。「会社員6割 管理職へ昇進イヤ」

 

管理職になることによって生じる2つの問題、「責任が重くなる」ことと「長時間労働になること」がその背景にあるとのことですが、サラリーパーソンの皆さんはどのように考えていますか。一言で管理職といっても、いろいろなポジションがあり、負うべき責任の内容もそれぞれ異なります。同じ課長であってもその責任の重さは会社によってさまざま、一概に同じ尺度で評価はできませんが、少なからずその組織内においての責任は重くなります。

 

長時間労働という面では、本体の自分の仕事に加えて、部下の仕事にも相応の配慮をする必要があり、社内外の調整事も増えます。加えて今の時代は働き方が多様化していることで管理職に求められる仕事量が増えているということもあるのかもしれません。組織の中にあっても個を重視するという考え方もあり、管理職となることで「個を犠牲にしてまで組織のために」とはならないのかもしれません。

 

この問題、個人の考え方という反面、企業の取り組み方にも問題の一端があるように思います。私のサラリーパーソン時代の経験からするとその問題は大きく2つ、動機づけとそれに見合う評価。

 

動機付けとは、管理職として期待すること、求めること、何をしなければならないのかといった点が本人に伝えられていないこと。単に辞令で「課長とする」というだけで、「あとは自分で考えて」では課長という責任だけが本人の負担となります。またいわゆる「名ばかり管理職」で権限も何もない、以前と何も変わらないというケースもありますが、これは本人のモチベーションを大きく下げてしまう一因です。

 

それに見合う評価とは、管理職としての相応の評価がされないこと。一番大きいのは労働基準法の41条該当者として、残業手当の支払いがなくなってしまうケース。多くの企業ではこれに見合う役職手当や賞与を支払うことでバランスを取っていますが、必ずしも全てではありません。「課長になったのに、給料が減った」ということでは誰も管理職を望まないことは明らかです。

 

会社という組織において「管理職」はなくてはならない存在、もしかすると「6割がイヤ、でもまだ4割の人が望むならその人達になってもらえばよい」という意見もあるかもしれませんが、これは見当違い。組織で管理職が望まれるポジションであることは組織にとってとても重要なことです。組織における「管理職」の在り方を見直してみてはどうでしょうか。

 

 

2018年10月09日 06:59

10月支給の給与計算、社会保険料はあっていますか

秋の夕暮れ(20181008)

先週は月末〆翌月支払日となっているいくつかの顧問先の給与計算に追われました。9月&10月の給与計算、悩ましいのは社会保険料の改定です。

 

社会保険料(厚生年金保険料と健康保険料)は、年1回原則として7月1日において被保険者の資格を有している人を対象として、保険料の改定を行います。事業主はその年の4月~6月の3ヶ月間に支払われた給与を7月10日までに届け出る必要があり、これを算定基礎届といいますが、この3カ月間の給与を基に保険料が決定し、その年の9月~翌年8月までの保険料として8月末日頃までに事業主に通知される仕組みになっています。

 

新しい保険料は9月からの保険料となるのですが、ここでよく言われるのは「では、いつの給料から引けばいいの?」という疑問。社会保険料の徴収・納付の原則は「翌月徴収・翌月納付」、この原則に倣えば9月分の保険料は「10月徴収・10月末納付」ということになります。何月分の給料というのではなく、いつ支給される給料なのかということで考えます。よって例えば

➀9月末締め10月10日払い

②10月25日締め10月末払い

③10月20日締め10月25日払い

といったケースがあったとしても、これらはすべて10月に支払われる給料から新しい保険料で控除することになります。

 

ただし、会社によっては「当月徴収・翌月納付」としているケースもあります。9月の保険料は9月の給与から控除し、納付はあくまでも翌月10月末としているケースです。この場合には、9月の給与から新しい保険料が徴収されることになります。ただし、「当月徴収・翌月納付」の場合、締日以降に入社した人は当月の給与支払いがありませんので、翌月2ヶ月分徴収されることになり、ちょっとややこしくなるので注意が必要です。

 

9月に支払う給与から変更するのか、9月分の給与として10月に支給する給与から変更するのか、といった点で言えば、「原則は10月に支払う給与から」ということになります。

 

 

2018年10月08日 07:40

祇園新橋についての朝日新聞の記事から思うこと

辰巳大明神(20181007)

「祇園・新橋通界隈の問題が改善されるかもしれません」

以前にもブログで取り上げたこの問題について、10月5日付朝日新聞に関連する記事が掲載されていました。タイトルは「祇園は映画のセットと違います」

 

祇園新橋地区、国の重要伝統的建造物群保存地区に今から40年以上前に指定され、以降地域の住民の人々がその景観保全に力を注いできている地域です。建物の色にとどまらず、その独特の雰囲気を守るため、様々な苦労がなされていると感じます。四季折々の風景があって、何よりも地元の人がそこで生活をしている、あるいは商売をしている場所でもあるのですが、最近の観光ブームで起きている現象はちょっと行き過ぎているように感じます。

 

もちろん観光客があっての観光地、多くの人に来てもらって京都の文化に触れてもらうことは大切なのですが、やはりマナーあっての観光であり、「旅の恥は掻き捨て」は文化を壊しかねない行為、そこで生活する人にすれば「脅威」すら感じてしまいます。祗園新橋地区に限らず、京都市内のあちこちで、同じような問題が起きているように感じます。お寺で騒いだり、撮影禁止とされている仏像と一緒に自撮りしたり、入ってはいけない庭に足を踏み入れたりといった光景はあちこちで目にします。そのお寺や地域が長い間かけて培ってきたものを愚弄されているような、怒りとはまた違う、何ともいえない思いになります。

 

個人的な意見ですが、外国人観光客のうち絶対数が多いこともあるのでしょうが、こういった行為をする人達は、日本との間で何らかの歴史的問題を抱えている国の人達が多いような気がします。もちろん、ごく一部の人達ですが、もし何らかの意図をもってされているとしたら本当に残念なことです。

 

先の祇園新橋地区では、特に撮影マナーについて覚書を作成し、撮影業者や観光客に配布するとのこと。その覚書の一つに「辰巳大明神の境内では参拝者を優先する」というのがあります。ここは祇園の地域の守り神、芸妓さんや舞妓さんが芸の上達を願う神様とされているのですが、今は外国人観光客や前撮りの撮影で昼間は近づくことができません。「神社は地域の守り神」という日本人の価値観をもっと理解してもらう取り組みも必要なんでしょうね。

 

少なくとも京都市内の観光地とされる多くはレジャー施設ではなく、文化や伝統、自然に触れる場所であることを伝える取り組みが大切なのではないかと思います。

 

 

2018年10月07日 09:59

季節と東西の差はどれくらい

麓郷の秋(20181006)

毎日同じ時間に起きていると感じること、当たり前のことですが気温と明るさの違いです。特にこの時期はその変化を実感しますが、さてどれくらいの差があるかふと気になりました。

 

日の長さという点では、最も長いのが夏至で逆に最も短いのは冬至、では今年の場合にはどれくらいの差があるのでしょうか。今年の夏至と冬至における京都での時間を調べてみると

【夏至】 6月21日  日の出は4時43分 日の入り19時15分  

     日の出~日の入りまで14時間32分

【冬至】12月22日  日の出は7時2分  日の入り16時50分  

     日の出~日の入りまで9時間48分

冬至と夏至の日の長さの違いは4時間44分、日々少しづつの長短ではあまり感じませんが、両端を比べるとその差は長いですよね。ただし、日の出が最も早いのは夏至の日ではなく6月13日の4時42分、逆に遅い日は冬至ではなく1月7日前後で7時6分、日の出の時間の差は2時間24分。逆に日の入りが最も遅いのは7月1日前後の19時16分、最も早いのは12月5日前後の16時46分、日の入りの時間の差は2時間30分。夏と冬では朝と夕方でそれぞれ約2時間半、差があるということです。

 

ちなみに東西南北に長い日本、東西で日の出・日の入りの時間とその間の差ってどれくらいあるのでしょう。本日10月6日で比べてみました。

【根室】   日の出 5時21分  日の入り 16時51分   

       日の出~日の入りまで11時間30分

【与那国島】 日の出 6時42分  日の入り 18時30分   

       日の出~日の入りまで11時間48分

それぞれ1時間20分~40分の差、日の出から日の入りまでの時間さは緯度の差によるもの。以前に根室に行ったときに、その差を実感したことがありますが、日本国内では時差こそありませんが、同時刻の明るさの差は結構あるんですね。

 

以上、本日のブログは朝起きてふと気になったことを調べてみました。台風の進路も少し気になるところですが、仕事とプライベートをハーフ&ハーフで過ごす3連休になりまそうです。

 

 

2018年10月06日 08:29

セクハラやパワハラ等で訴えられたときの対策

宗像神社(20181005)

今の世の中、企業や事業主にとっては、人を雇うこと自体がリスクと言われるほど、人に関する多くのトラブルのタネを抱えています。その種が芽を出して万が一にも賠償といった問題が生じた時の備えをしていますか。

 

人に関するトラブルやリスク、セクハラやパワハラだけでなくいろいろなことが起こり得ます。例えば、不当解雇や退職勧奨、労働条件の一歩的な変更といった労働条件の差別、あるいは人格権の侵害や不当評価による採用・配置転換・職種変更といった人事に関することなど。こんなこと自分の会社では起こり得ないと思うことかもしれませんが、人と人との間で起きるトラブルは、された側の受け止め方次第で大きなトラブルになるもの。何気ない言動がきっかけで起きるトラブル、実際に私もサラリーパーソンの頃に何度も見てきましたし、今は実際に相談をうけることのほとんどのきっかけは些細なことなんです。

 

さて、そんなトラブルに備える保険が実際に発売されています。一般的には「雇用慣行賠償責任保険」と言われており、不当行為によって会社に何らかの損害賠償責任が生じた場合に、実際に支払われる賠償金や和解金、訴訟などで要した弁護士費用などが支払われるものです。対象となる相手は会社が給料を支払っている、あるいは支払っていた人を含むため、正社員だけでなくパートやアルバイト、退職者からの請求による賠償も含みます。

 

支払いの対象となる補償金額は保険会社によって異なりますが、1,000万から2億円といった範囲で定めているところが多く、一定のリスク対策にはなりそうです。実際ある報道記事では、販売件数がここ数年で急増しているとのことですが、人と人との間で起きたトラブルが発端となるだけに、急増という表現になんとも複雑な思いがします。

 

保険で万が一のリスクに備えることも大切ですが、日常業務の中できっかけとなる言動に配慮することが一番のリスク対策になることは間違いありません。そのためにはまず社員への教育や研修といったことに投資すべきではないかと思います。

 

 

2018年10月05日 16:03

万が一の時、誰が年金をもらえるのか

二年坂(20181004)

公的年金に加入している人が万が一亡くなった場合に支給される年金は2つ、遺族基礎年金と遺族厚生年金。この2つの年金、受け取れる人には違いがあることを知っていますか。

 

まず、遺族基礎年金と遺族厚生年金はまずどの年金制度から支給されるのかという点について。遺族基礎年金は国民年金の加入者が死亡したとき、そして遺族厚生年金は厚生年金の加入者が死亡した時にそれぞれ支給されます。よって自営業者や専業主婦、学生といった国民年金のみに加入している人と、会社員や公務員のように国民年金と厚生年金に加入している人ではその遺族に支給される年金が異なるということになります。

 

いうまでもなく、老齢や障害年金と違い、遺族年金は本人が死亡することによってその遺族が受け取ることになりますが、その遺族の範囲がそれぞれで異なります。

【遺族基礎年金】

受け取ることができる人・・・被保険者または被保険者であった者の➀妻、②子ども

➀妻は、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持し、かつ、②に掲げる要件に該当する子と生計を同じくすること

②子どもは、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか又は20歳未満であって障害等級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと

妻の場合、②の条件に該当する子どもと生計を同じくしていなければ、遺族基礎年金を受け取ることができません。逆に子どもは妻(子どもからみれば母親)と生計を同じくしていなくても②の条件を満たしていれば遺族基礎年金を受け取ることができます。

 

【遺族厚生年金】

受け取ることができる人・・・被保険者又は被保険者であった者の➀配偶者、②子、③父母、④孫又は祖父母であって死亡の当時その者によって生計を維持したもの

➀配偶者のうち妻については条件なし、夫の場合には55歳以上であること

②子どもの場合は、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか、又は20歳未満で障害等級の1級若しくは2級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと

③父母の場合は、55歳以上であること

④孫の場合は、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか、又は20歳未満で障害等級の1級若しくは2級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと

⑤祖父母の場合は、55歳以上であること

上記の①~⑤について、遺族の順位は、①配偶者と②子、③父母、④孫、⑤祖父母となっており、受給権については転給は行われないので、先順位の遺族が受給権を取得したときは後順位の遺族が受給権者となることはありません。

 

簡単に言えば、遺族基礎年金は妻と子どものみが受け取れ、遺族厚生年金は配偶者と子ども・父母・孫・祖父母の範囲で上位のものが受け取れるということになります。あくまでも「誰が受け取ることができるのか」という観点だけであるため、その他の条件は割愛していますので、その点は予めご了承ください。

 

同じ遺族年金でも国民年金と厚生年金の受給権者には大きな違いがあること、知っておいても損はないと思います。

 

 

2018年10月04日 15:35

特定派遣業の切り替え期限が過ぎましたが

相国寺(20181004)

このブログでも何度も取り上げたことのある特定労働者派遣業の廃止、経過措置であった3年間の期限である9月29日を過ぎました。

 

当初この影響が大きいのではないかと言われたのがIT業界、私も顧問先の切替業務を請け負いましたが、知っているいくつかのIT企業では結局切替をしなかったところもあります。切替をしなかった理由としては、届出制から許可制となったことでその条件が厳しくなったということの他に、切り替えなくてもなんら事業に影響がないという面もありました。その大きな理由はIT業界独特の契約形態によるものです。

 

IT業界と建設業界には共通項があります。それは、「多重下請け構造」となっていること。SIerといわれる大手企業から仕事が一次、二次、三次請けといった具合で業務が多重請負による企業からの技術者によって開発されることは珍しいことではありません。派遣業法では多重派遣は禁止されているにもかかわらず、こういった多重下請けができる理由、それがSES(システムエンジニアリングサービス)契約と言われるものです。

 

このSES契約は、SIerの要員不足を補うために、中小のIT企業がシステムエンジニアを常駐で提供する契約で準委任契約がその基本となっています。SES契約の原則は2つ。

➀発注元(SIer)の社員による指示を受けない→指示を受けると、「派遣契約」となってしまう

②成果物に対する責任を負わない(事務の処理をすることが契約の主旨であるため、成果が上がらなくても報酬を得られる)

つまり、➀が前提になっているSES契約で自社の社員をSIerに常駐させているので、派遣業の許可はいらない、特定派遣業の切り替えをしなくても影響がないというのが、冒頭の理由です。

 

しかし、実際には上記の2つの原則は形骸化しています。特に①が守られている現場はレアケースといっても言い過ぎではありません。もしかして本当に見直さなければならないのは特定労働者派遣業の廃止ではなく、SES契約の在り方ではないかと思います。SES契約が「派遣」される労働者にとって長時間労働や、派遣先で厳しい業務の遂行を指示されるという温床になっています。もちろん、SES契約をメインにしている企業でも本来あるべき形で労働者を常駐させている企業、受け入れているSIerもあり、SES契約のすべてが悪いということではありません。ただ、絶対数として守られていないことが多いということです。

 

もしかして、今回の切替に真剣に取り組んだ企業は法令遵守の意識が高い企業だったといえるかもしれません。

 

 

2018年10月03日 07:05

天災に対して「謝罪」することが必要なのでしょうか

みそそぎ川(20181002)

夕方のニュースを見ていて何気なく感じたことです。

 

そのニュースとは、中部電力による会見。今回の台風が原因で起きた静岡県内の大規模な停電が丸一日以上経過していること。現在も17万戸で停電しており、完全復旧まであと2日必要と見込まれること。何よりも会見の冒頭ではまず「契約者の皆さまにはご迷惑をおかけして申し訳ございません」の言葉と頭を下げての謝罪。

 

今回の停電の原因は誰が見ても明らかな天災、中部電力側に何らかの過失があった訳ではありません。ここまで平身低頭して謝罪をする必要があるとは思えないのですが、このいつもの光景はこの国独自の文化と いいますか、何か違和感を感じてしまいます。

 

もちろん、何か非があって相手に迷惑をかけてしまったときに謝罪することは必要です。あるいは、日本人はちょっとした会話のなかでも「申し訳ございませんが」とか、「ご迷惑をおかけしますが」など、これから相手に生じるであろう負担に対して「あらかじめ謝罪しておく」といった言葉が当然のように出てきます。これは、少しでもことを荒立てることなく、和を重んじる日本の文化であり美徳なのでしょうが、今の社会ではこれを逆手に取った、あるいは過剰に謝罪を求めるいわゆる「クレーマー」を生む根源になっているように思います。

 

少なくとも、今回のように直接の加害者でない人達が謝罪をするということ、その一方で被害を受けていない人が過剰にテレビやネットで責任論を語ることが本当に必要なのでしょうか。日本の謝罪する文化は昔はともかく、現在は窮屈な世の中にしているように考えますが、皆さんはどのように思われますか。

 

 

2018年10月02日 18:47
FP・社会保険労務士事務所  つくるみらい
ファイナンシャルプランナー一柳賢司

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