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2020年10月の記事:ブログ(日々雑感)

アルバイトやパートでケガをしたら

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学生や主婦、フリーターといった人がアルバイトやパートでの仕事中、あるいは通勤途中にけがをして医療機関にかかったとき、健康保険を使いますか、労災保険を使いますか?

正解は「労災保険」です。労災保険は個人経営の一部の農林水産業を除き、すべての事業主が加入しなければなりません。また、対象となる労働者の正規・非正規、パート、アルバイトといった区別なく、労災保険の適用労働者となります。そのため、労災保険の保険料は、保険年度(4月~翌年3月)の1年間に支払った賃金総額に対して、労災事故の発生率を勘案した保険料率を乗じて決められています。

業務上のケガや病気で労災保険を使うことは、制度の主旨からも当然のことですが、労災保険を使うことは、労働者にとって大きなメリットがあります。病院でけがの治療を受けた時、健康保険では3割の自己負担がありますが、労災保険では自己負担はゼロ、全額保険で支払われます(療養補償給付)。また、病気やケガで働くことができず、賃金を受けることができない場合、健康保険では傷病手当金を受けることができますが、支給開始から1年6ヶ月という制限があります。これが労災の場合には、休業補償給付として期限なく支給されます。また、支給開始から1年6ヶ月を経過した時点で、一定の状態である場合には傷病補償年金として受給することもできます。その他、治癒した時に一定の障害が残ったときには、障害補償年金や介護補償年金が、不幸にも死亡した時には遺族補償年金や葬祭料が支給されます。

パートやアルバイトが業務上でケガをした場合、その事実を隠す意図で、その人が持っている健康保険で治療を受け、自己負担分を責任者が代わりに支払う、いわゆる「労災隠し」があります。これは絶対に認められません。明らかに違法であるとともに、労働者にとって著しく不利益になります。もし、事業主が労災申請に応じない場合には、自ら労働基準監督署へ申請することも可能です。

まずは、アルバイトやパートタイマーでも労災が使えること、知っておいてください。

 

2020年10月12日 07:08

定めておくことをおススメする社内規定とは

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社会保険労務士の仕事の一つに、社内規定の作成やその届出があります。私もこの3年で多くの企業さまの社内規定の作成・届出をしましたが、ではどんな規定を作成する必要があるかについて今日は少しお話ししたいと思います。

 

まず、会社の規則の柱となるのが就業規則です。国で例えれば憲法といってもいいでしょう。労働基準法第89条で常時10人以上の労働者を使用する事業所では、就業規則の作成と労働基準監督署への届出を義務付けています。この就業規則には必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」と、定めをする場合には記載しなければならないとする「任意的記載事項」があります。絶対的記載事項には、就業時間や休憩・休暇・休日や賃金に関する事項があります。このうち賃金に関する事項は、内容が複雑で記載すべき事項が多いため、別規定(賃金規定)として作成するケースがほとんどです。

 

ではその賃金規定ですが、多くの場合には支払日や支払方法、昇給の時期、賃金の細目やその細目ごとの計算方法、控除する費用などを規定しておきます。特に基本給や職能給の金額が細かく規定される場合には更に別表として一覧表を作成して、例えば給与テーブルといった形で規定したりします。通勤手当や扶養手当といった個々の条件によって支払額が変わるような手当についてもここで定め、支給基準を明確にしておくことでトラブルを防ぐことができます。

 

また義務化されている制度として、育児休業と介護休業があります。事業主は法律に規定による条件を満たすものがその取得を要求した場合、労働者に育児休業、あるいは介護休業を与えなければならないとしています。ただし、取得の要件がとても細かいため、就業規則では「要件を満たした場合には、育児休業あるいは介護休業規定の定めるところにより休業を取得することができる」としておき、別途規定を作成するのが一般的です。私が作成する場合にも、同様の対応をしています。育児休業規定および介護休業規定は厚生労働省のホームページから雛形を取得することができますので、これを参考とするのもよいかもしれません。

 

そして最後にもう一つ、私がご依頼を受けた際に確認するものに「出張規定」があります。これは企業によってその必要性は異なりますが、社員が日帰りあるいは宿泊を伴う出張をする場合、その交通費や宿泊費、あるいは一定の手当を支給する場合にはその金額に関する規定を定めておくのがよいでしょう。例えば指定席かグリーン席か、宿泊するホテルはいくらまでか、前泊した場合の手当はいくらまでか等、こういった事項がケースバイケースではトラブルの元となります。キチンと明文化しておくことをおススメしています。

 

さて、みなさんの会社にはこのような規定はありますか。その他にも会社によっては細かく規定してあるでしょう。必要に応じて目を通してみるのもよいかもしれませんね。

 

2020年10月09日 16:30

人事異動や転勤を拒んだら

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「人事異動や転勤を拒む社員への対応」、転勤の制度がある会社では、過去に1度はあるのではないでしょうか。そんなときどうすることができるのでしょうか。

転勤まではないものの、人事異動のない会社はありません。例えばある地域内で複数店舗で営業をしていれば、その店舗間の異動であっても人事異動と言えます。もし自宅から近い店舗から遠い店舗への異動となったとき、「自宅から遠くなるのでお断りします」と言われて拒否される可能性も無いとは言えません。あるいは「自分の希望しない仕事だからしたくありません」と拒まれることもあるかもしれません。

一般に企業ではこういった人事異動で起こる問題を想定して、予め就業規則等で「人事異動を命じられたときには、これに従わなければならない」といった旨を定めています。そのためもし拒んだ場合には、服務規程違反ということで、一定の処分をすることが可能になります。就業規則の懲戒規定にもよりますが、場合によっては退職を求めたりすることもできます。

もっとも、転勤を命じたことをきっかけに退職となっては、労使双方によってマイナスとなってしまします。転勤を命じる場合にはその理由や期待することなどを説明し、本人が納得して転勤できるようにすることもポイントとなります。

一方で正当な理由もなく、個人的なわがままで転勤や人事異動を拒否した社員をそのままにすることは、ごね得となり、決してよい効果を生みません。その点を勘案してもし拒んだ社員がいる場合の対応を検討しておく必要があります。

 

2020年10月07日 19:04

意外に知らない? ノーワーク・ノーペイの原則

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「ノーワーク・ノーペイの原則」って聞いたことありますか。

 

ここでいう「ワーク」とは皆さんが会社やパート・バイト先等で仕事をすること、「ペイ」とは事業者が給与を支払うことです。そこに「ノー」は付くと、仕事をしなければ給料の支払いはない、つまり皆さんが働くことによって労働力を提供しなければ、事業主は給料を支払う必要がないということです。

 

労働に対して給料を支払う、当たり前のことですが皆さんが会社に就職して、あるいはパートやアルバイトを始める際に、「雇用契約」を結んでいます。雇用契約とは「労働者は労働力を提供する、使用者はその対価として決められた給与を支払う」ということに労使双方が合意して成立する契約です。よって、予め決められた場所で、決められた時間に労働力が提供されないければ、例えば遅刻や病気などで欠勤した場合、使用者は欠勤控除といった手段で相当分の賃金を控除することができるのです。

 

私もいくつかの顧問先から給与計算業務を請け負っていますが、欠勤控除の対応はしばしばあります。その場合には予め算定してある対象者の1時間当たりの平均賃金に、欠勤となった時間数を乗じて控除額を求めています。給与明細には「欠勤控除額」の見出しをつけていますが、本人には対象となった日を備考欄に記載しています。

 

ところで、ノーワークでもペイとなるケースもあります。それは年次有給休暇を取得した場合で、この日は言うまでもなく控除することはできません。また、慶弔休暇や出産・産前産後休暇、介護休暇等は会社の就業規則の定めるところによります。一般に慶弔休暇は年次有給休暇と同様に出勤扱いとし、出産・産前産後休暇、介護休暇等は公的保険から給付を受けることができることもあり、無給としている企業が多いようです。ただし、企業によって異なるので、気になる人は就業規則を確認することをおススメします。

 

最後に少し話が逸れますが、使用者の責に帰すべき事由、あるいは使用者の命令による休業や自宅待機等の場合には、平均賃金の6割以上の休業手当を支払う必要があります。この場合にもある意味ではノーワーク・ノーペイの原則の例外と言えます。

 

2020年10月05日 16:04

いつか巻き戻しがやってくる?

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コロナ禍で気がつけばもう10月です。

今月1日からは、GOTOキャンペーンに東京発着が加わり、また一部に限定されていた海外からの入国が一定の条件はあるものの、全世界に拡大されました。今後は感染拡大防止を図りつつ、経済活動を元に戻していくことは避けられません。

ところでGOTOキャンペーンはいうまでもなく、一人10万円を支給する特別定額給付金、各地方自治体が独自に行っている給付金や補助金、雇用保険料を原資として給付されている雇用開発助成金など、新型コロナウイルス感染症によって、当初想定されていなかったお金としていったいどれくらい支出されているのでしょうね。もっとも支出は今年に止まりません。先日公表された来年度予算の概算要求額は105兆円。この中にも相当のコロナ関連の予算が請求されています。

取りあえず今は有事であり、国民全員に無償でワクチン投与をする予算などは納税者として納得のいく使い方です。ただ、有事だからと言って何でもかんでも取りあえずというのは後に大きなツケを回すことになります。受けた恩恵の数倍の巻き戻しがやってくる、そんな気がするのは心配のし過ぎなんでしょうか。

 

2020年10月02日 16:44
FP・社会保険労務士事務所  つくるみらい
ファイナンシャルプランナー一柳賢司

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社会保険労務士
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一柳 賢司

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