マンション管理組合の理事長解任に関する判決から
マンションに関する法律としては「区分所有法」がありますが、ここにすべてが決められている訳ではありません。あくまでも法律として、最低限守るべきルールが書いてあるだけで、実際にマンションに生活し、管理するための細かい規定をマンションそれぞれで定めています。これを管理規約といい、多くのマンションでは国土交通省が作成しているひな型ともいえる、「標準管理規約」を参考にして作成しています。
今回の裁判は、この標準管理規約に理事の解任に関する規定がないため、一・二審では解任は無効と判断されたものを、最高裁は「解任できる」と判断したものです。 標準管理規約では、管理組合を置くこと(第6条)と、理事長・副理事長・会計担当理事・理事といった役員を置くことを(第35条)規定しています。また、理事長・副理事長・会計担当理事は理事の互選によって決める(第35条2項)とされています。よって、通常はまず理事を管理組合総会で選任した後、選任された理事の中で、理事長や副理事長といった役職を決めるのが一般的な手続きです。
この管理規約第35条には、確かに「理事の互選によって選任する」とあるだけで、解任の手続きは決められていません。しかし、選任されている理事は総会の決議によって選ばれており、間接的には組合員を代表しています。その理事によって構成される理事会の過半数の決議であれば、解任できるというのは、道義的に問題はないと思います。
ちなみに、区分所有法でも、第25条に「区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者を選任し、又は解任することができる」と定められています。ここでいう管理者とは理事長と同義で、最終的には、この規定によって全員が参加する総会でも解任することができることになっています。
今回の発端は、理事会で「管理会社を競争入札で選ぶか否か」で意見が分かれたことが原因とのこと。理事会では管理費や修繕積立金といったお金に関することが時に大きな議題となります。解任された理事長の主張がマンションにとって利益か不利益か、最終的には住民の総意である総会で判断してから、理事長の解任を決めてもよかったのではないか、実際にマンションに住み、現在理事をしている立場としては考えますがどうでしょうか。
※写真は堂島川界隈(大阪市北区)
2017年12月19日 10:10