「他人ごと」では済ませられないこと
昨日の朝刊にも、NHKの記者が過労死ラインを大きく上回る時間外労働の末に亡くなり、労働基準監督署が労災(過労死)を認定したとの報道もありました。3年も前のことです。過労死とまではなっていないものの、まだまだ電通やNHKのような過重労働やパワハラによる精神的な圧迫は隠れているのではないでしょうか。残念ながらそれが現実です。現在の世の中では至る所で、
▶低価格・・・少しでも安く
▶短期間・・・少しでも早く
▶高品質・・・ハイクオリティなものを
を求められる時代です。多くの職場では、一見矛盾しているようなこの条件のもとで仕事をし、さらにユーザーのクレームにも対応するという無理があって、その上に消費者側の便利な日常生活が成り立っているとしたら少し怖くなります。
例えばIT業界では、確かに私が社会人となった頃と、退職前の数年間を比べてみると、少なくとも至る所にひずみがあったように思えます。実際に私自身も3年ほど前に、あるシステム開発の現場で、2週間で100時間を超える残業を経験したことがあります。人がいない、工期が短い、ユーザーの要望が多い等の要素が重なったことが要因でした。
今の労働環境は、いろいろなところで、そういったひずみを吸収する余裕がなくなっているのかもしれません。また、企業間だけでなく社内、部署内あらゆるところが競争社会で、上司部下、先輩後輩はもとより、同僚の間でも声をかける、手を差しのべる余裕がなくなっていることも重なっているのでしょうか。
IT化が進み、日常の生活が便利になり、モノが安く手に入り、サービスが向上するのは消費者の立場ではいいことです。ただ、どこかにそのしわ寄せがあるのではないでしょうか。それが回り回って、非正規雇用の増加や低賃金、正社員の過剰労働となり、もしそこに自分の身が置かれたらと考えると、手放しでは喜べないように思います。
※写真は鴨川河川敷にて(京都市左京区)
2017年10月06日 05:24