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海外で病気やケガをしたら健康保険証は使える?

夕焼け
3月末にかけて卒業旅行等で海外へ出かける予定をしている方も多いかと思います。何事もなく、旅行を楽しむのが一番ですが、もし病気やけがをして海外の医療機関で治療を受けた場合、健康保険証は使えないことはご存知ですか?
国内では医療機関で治療を受けた時、健康保険証を提示することで、1~3割の自己負担分を支払う「療養の給付」が前提となっています。また、やむを得ない場合には、いったん医療費全額を支払い、後で自己負担分を除いた額を「療養費」をして請求することができますが、あくまでも国内で使える仕組みで海外で受けた医療費には使えません。ただし、この場合に利用できる制度として、「海外療養費制度」というものがあります。これは、海外旅行や赴任中に病気やケガでやむを得ず現地の医療機関で診療を受けた場合、申請により一部医療費の払い戻しを受けることができるものです。注意が必要な点は、国内と同じように払った費用から自己負担分を除いた全額(支払った費用の7~9割相当額)が戻ってくるわけではないということです。支給されるのは、もし国内の医療機関等で、同じ傷病を治療した場合にかかる治療費を基準に計算した額(実際に海外で支払った額の方が低いときはその額)から自己負担相当額を差し引いた額を支給します。
【例】自己負担割合を3割と前提
①海外で5万円払ったが、国内の医療機関で同様の治療をした場合にかかる医療費 
 が3万円と判断された場合・・・30,000ー(30,000×0.3)=21,000円←支給額

②海外で5万円払ったが、国内の医療機関で同様の治療をした場合にかかる医療費
 が8万円と判断された場合・・・50,000ー(50,000×0.3)=35,000円←支給額


為替レートは支給決定を行う日の外国為替換算率により円に換算して支給額が計算されます。①の場合のように、海外で払った医療費から自己負担相当額を差し引いた額より、実際の支給額が大幅に少なくなる場合もあり得ます。
なお、この海外療養費は初めから治療目的で渡航をして受けた治療は対象外となります。もし万が一、帰国後に請求する場合には、現地で交付された診療内容明細書や領収書の他、入出国を確認するためパスポートの提出を求める保険者もあります。請求される場合には、保険者への確認が必要です。

せっかくの旅行です。何もないことがベストですが、何かあったときの心づもりはしておくと安心です。


2017年02月16日 05:17
FP・社会保険労務士事務所  つくるみらい
ファイナンシャルプランナー一柳賢司

ファイナンシャルプランナー
社会保険労務士
マンション管理士
一柳 賢司

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