労働基準法は「属地主義」ということ
こちらの顧問先、伺う直前に給与明細書や住民税の納付書を納品しており、「納品物に何か問題でも?」と半ばハラハラしながら伺ったのですが、話は全く別件で、採用に関することでした。とはいえ、その採用というのは外国人採用に関すること。仕事量は右肩上がりに増えているものの、人がいないため断らざるを得ないという状況をなんとかしたい、ということで来年度以降、外国人を積極採用するということでした。それにあたり、これからしなければいけないことや、注意しなければいけないことの意見を聞きたいというのが、オーナーからのご依頼でした。
外国人を使用する場合には、在留資格や在留期間といったいわゆる「入管法」の規定が考慮すべき一丁目一番地ともいえますが、いったんこの点は横に置き、労働法規の観点でポイントとなることをアドバイスさせていただきました。それは労度基準法は「属地主義」であること、言い換えると日本国内で働く人には国籍に関係なく適用されるということです。
労働基準法では第3条に次の様な規定があります。
「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」
これは均等待遇の原則というもので、「国籍」という言葉もちゃんと明記されています。外国人だからといって、異なる賃金体系を作ったり、長労働時間を強いたり、外国人だけに適用される就業規則を作ったりすることは原則としてできません。また、時間外勤務があれば割増賃金が必要になったり、有給休暇についても同様の取扱いが必要になります。
纏めると「外国人労働者も、働く条件や待遇等は他の社員さんと同じです。また、雇用契約書や就業規則などは英語版を準備して誤解が生じないようにすることも必要です」ということをお伝えしてきました。もちろん、条件を満たせば社会保険や労働保険に加入することも必要になります。
2019年10月09日 09:36