インフルエンザに罹った社員を休ませたら
今年は早くもインフルエンザの流行シーズンが始まったと報道されていますが、皆さんの会社では、インフルエンザに関する決め事って何かありますか。
最近多いのは予防接種に対する会社の費用負担、以前にこのブログでも取り上げたことがあります。
インフルエンザの流行が「警報レベル」となっています(2017.2.8)
特に医療関係者や保育園・幼稚園等の教職員が従事する職場では、全額を事業主が負担して強制的に接種するところがほとんどです。一般企業などでも、罹った場合の職場や業務への影響、ある意味でこれもリスク管理と言えますが、未然に防ぐために費用の全部あるいは一部を負担して接種させるところがあります。仮に100人の企業で、10人が罹ってそれぞれが5営業日休めば50人日、2ヶ月間のマンワパーが失われます。その影響を考えれば費用を負担しても決して無駄ではありません。
そしてもう一つ、もしインフルエンザにかかってしまった場合、就業規則等で出勤停止とする旨を定めている企業もあります。実際、サラリーパーソン時代に勤めていた企業では、その旨を就業規則に明記していました。そこで問題になるのがこの休業日に対して賃金を支払う必要があるかどうか、ということになります。
使用者は労働安全衛生法第68条の規程により「伝染性の疾病その他の疾病で、厚生労働省令で定めるものにかかつた労働者については、厚生労働省令で定めるところにより、その就業を禁止しなければならない」とされています。ただし、季節性のインフルエンザについてはこの厚生労働省令で定めるものに該当しないため、この法律を根拠に休ませることはできません。そこで、職場での拡散を防止するために、先に書いたとおりその旨を就業規則に定める必要があります。そして、この休業日に対する賃金の問題。会社は法律上休む必要にない社員を会社の判断、会社の都合で休ませるということになります。これは「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当するため、使用者は労働基準法第26条の規程によって、平均賃金の6割にあたる休業補償を行わなければならないということになります。
この場合、一般的には有給休暇を充てて結果的に10割の賃金を支払うケースがほとんどです。ただし、この場合に注意が必要なのは、使用者側から勝手に有給休暇にしてはいけないということ。有給休暇はあくまでも労働者が事前に申請することが前提となっているものです。これを使用者が事後に取得させることはできないのです。これについてはおそらく誤った運用をしている会社が多くあるのではないかと思います。有給休暇として処理する場合には使用者側からの強制とならないように注意する必要があります。