未払賃金の請求期間が3年になるかもしれません
それは賃金の消滅時効に関すること。現行の労働基準法では、制定当時の民法の短期消滅時効(給与などについては1年)を参考に、賃金については2年、退職金については5年で時効によって請求できなくなります。言い換えると、未払の賃金や退職金があっても、それぞれ2年もしくは5年が経過すると、「未払分を払ってください」と請求することができないということです。
この前提となっている民法は、来年4月120年ぶりに大きく改正されることは以前にこのブログでも取り上げました「民法改正で生活に影響がありそうなこと(2017.5.31)」。今回の民法改正では、時効については債権の種類に応じていろいろあった期間が、①債権者が権利を行使することができることを知った時(主観的起算点)から5年間行使しないとき、又は②権利を行使することができる時(客観的起算点)から10年間行使しないときに時効によって消滅すると改正されます。では賃金についてはどうするのがよいかという議論がなされて、その結論が「3年」ということになりました。
この3年間というのは、労働基準法第109条で「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を3年間保存しなければならない」という規定があり、仮に未払賃金を請求されても、この条文に準じて賃金台帳や出勤簿が保存されていれば対応できる範囲として決まったようです。いきなり長い期間とすることへの企業への負担と、労働者の権利とのバランスを図った期間とも言えそうです。
今後国会などで審議されることになりそうですが、建議では施行は民法改正と同じ来年4月とすべきであるとしています。また今後の見直しも示唆されていますので、そう遠くない将来には5年となることもありそうです。企業側も少なからず対応が必要になりそうです。
2019年12月28日 09:05