矛盾はこれに限ったことではないけれど
「ギャンブル依存症治療 4月から保険適用方針」
最近何かと話題のIR(カジノを含む統合型リゾート)、政府はその設置を進めてますが、厚生労働省はギャンブル依存症の治療に対して今年の4月から公的医療保険の適用対象とする方針を示したとのことです。同新聞からの引用になりますが、具体的には依存症の人が集まってグループでその経験を語り合うことで、依存症からの脱却につなげるという「集団治療」が想定されているとのこと。さて、どう思いますか。
政府としてはIRを進めて行く上では、設置後に少なからず依存症となってしまう人が出てくるという問題を避けて通ることはできません。そのためにその治療に対しては公的医療保険の対象とすることで、政府としてセーフティネットを用意します、ということでしょうか。でも自らの意思で始めたことで依存症になった人に対して、税金や保険料を費やすことへの非難もあります。ちょっとした矛盾であり、非難はもっともなことです。
ただ他に目を転じてみると、同様のことは多々あります。例えば喫煙者が肺がんとなった場合や、飲酒によって肝臓を患ったような場合、因果関係の大小にかかわらず、保険適用によって治療を受けることができます。もしカジノ依存症による治療に対して「保険適用は矛盾している」ということになれば、喫煙者や酒豪の人への治療も同じということになります。医療に対する負担を杓子定規のように図ることはできません。声高にカジノ依存症だけを非難することはできないのではないかと思います。
もっとも年明けの国会で、今話題となっている中国企業からの収賄に関する問題と、この医療保険の問題をバーターで議論するようなことはことになるのでしょうか。度々繰り返される、人質を取ったかのごとく議論され、何も進まないという光景にはうんざりですよね。収賄と保険適用の有無の是非は分けて議論していただきたいものです。
2020年01月13日 16:48