強制は下がり、任意は上がる
一口に保険と言っても、いろいろな分類の方法がありますが、保険者(保険を運営している事業者)によって分けると、公的保険と民間保険があります。公的保険には厚生年金保険や健康保険などがありますが、公的保険の保険料は基本的に所得によって、もしくは一律で定められています。一方で、民間保険の保険料を決める大きな要素の一つに「リスク」があります。
リスクとは、保険金の支払いの理由となりうる事由で、例えば年齢、病気の有無や事故を起こす確率などがあります。民間保険の場合、事業者は生命保険会社や損害保険会社ですが、リスクをキチンと管理してそれに見合った保険料を徴収し、適正な保険金支払いをしなければ事業が成り立たないためです。リスクが高いのに、安い保険料で高い保険金を支払っていたら本末転倒となってしまいます。
さて、自動車やバイクを持っている人が加入する保険には2つ、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)と民間の任意保険があります。自賠責保険は加入が義務づけられる強制保険で公的保険ともいえます。一方で任意保険は民間の損害保険会社が販売しているものです。この2つも基本は先ほどの厚生年金や健康保険と同じ原理で、自賠責保険は車やバイクのの大きさや利用目的によって決まりすが、任意保険には年齢や車の構造や過去の事故の有無など、様々な要素(リスク)が加味されます。
最近は車の性能が上がり、交通事故件数が減少していることを受けて、自賠責保険が今年の4月から引き下げられることになっています。が、任意保険については今年の1月から全体的には引き上げられています。交通事故が減っているのになぜと思うかもしれませんが、任意保険の保険料を決めるリスクを細かく見ていくと一律ではないことがその原因です。例えば車の性能が上がるということは、それだけ車の部品は高くなっているため、車両事故のときの保険金支払いが高くなる、あるいは年齢別にみれば高齢者の事故は増えているといった理由です。
ただ、任意保険は個人の事情を保険料に反映するサービスが提供されており、一律保険料が上がるというこではありません。一番いいのは保険を使わないことですが。
2020年02月15日 07:12