いつもと違う通勤手段で事故に遭ったら
労災保険は業務中の事故だけなく、会社から自宅への行き帰りといった通勤途中の事故の場合でもその対象となります。その労災保険で定める通勤の定義とは、
➀住居と就業の場所との間の往復
②厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動
③①に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る)
とされており、労働者が就業に関し、上記①~③の移動を、合理的な経路及び方法により行う場合が該当します。そのため、通勤の手段や通勤の経路がたまたま普段と異なっていたり、会社に予め届けている内容と異なっているといったことは問題にはなりません。ただし、通勤という概念から途中で外れたり(逸脱)、あるいは止めて(中断)してしまうと、それ以降は通勤とはみなされなくなります。例えば、会社帰りにそのまま旅行に出かけたとか、友人宅に遊びに行ってそのまま泊めてもらい翌日自宅に帰った場合などです。
ただし、通勤から逸脱または中断した場合でも、それがやむを得ない事由や日常生活の範囲内で行われるような次の場合には、その行為が終わった後は再び通勤とみなされます。
❶日用品の購入その他これに準ずる行為
❷職業能力開発促進法規定する公共職業能力開発施設の行う職業訓練、学校教育法に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に
資するものを受ける行為
❸選挙権の行使その他これに準ずる行為
❹病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為
❺要介護状態にある配偶者、子、父母、配偶者の父母並びに同居し、かつ、扶養している孫、祖父母及び兄弟姉妹の介護(継続的に又は反復して行われるものに限る)
もし社員さんが通勤途中で事故に遭ったら、労災保険の適用を受けることができるかどうかは、こういった条件に該当するかどうか、「合理的な経路および手段」であったかどうかで判断することになります。もし判断がつかない場合には労働基準監督署にご相談されることをおススメします。
2020年07月02日 07:14