応募者から提出された書類の返却は必要?
「採用活動で応募者から提出された履歴書や成績証明書など、もし不採用者から返してほしいと言われたらどうしていますか?」
応募者から提出された書類はそのほとんどが個人情報とも言えます。もしプライバシーマークを取得している企業であれば、提出を受けた(取得した)とき、その書類を採用担当者分コピー(加工した)とき、あるいはそのコピーを利用後にシュレッダー(廃止)したときには、その経緯を常に記録しておかなければなりません。では、不採用者から返却を求められたときにはどうすれば、あるいはどうすべきなんでしょう。
結論から言うと、返却に応じる法的な義務はありません。個人情報保護法では、第19条で以下のように定められています。
「個人情報取扱事業者は、利用目的の達成に必要な範囲内において、個人データを正確かつ最新の内容に保つとともに、利用する必要がなくなったときは、当該個人データを遅滞なく消去するよう努めなければならない。」
不採用となり、提出された個人情報が不要となったとき、法律では消去するように努めなければならないとされているだけで、義務ではありません。また消去と定められてはいますが、返却することは求められていません。「預かった個人情報をデータベース化していたり、何らかの形で複製していたら、これらを消去するよう努力しなさい。でも本人に返却する必要はありませんよ」ということです。
多くの応募者がいる企業では、一人一人に返却していては膨大なコストを手間がかかります。その点からしても取扱いに十分に注意した上で、処分することがベストとも言えます。ちなみに私が前職で採用担当者であったときには、学校の同意を得た上で、学校単位で纏めて就職担当者宛に返送し、各学校で学生さんに返還をお願いしていました。
個人情報ですから、その取扱いは慎重にする必要がありますが、社内で処分すればよく、返却の必要はないと覚えておいてください。
2020年09月18日 18:21