定めておくことをおススメする社内規定とは
社会保険労務士の仕事の一つに、社内規定の作成やその届出があります。私もこの3年で多くの企業さまの社内規定の作成・届出をしましたが、ではどんな規定を作成する必要があるかについて今日は少しお話ししたいと思います。
まず、会社の規則の柱となるのが就業規則です。国で例えれば憲法といってもいいでしょう。労働基準法第89条で常時10人以上の労働者を使用する事業所では、就業規則の作成と労働基準監督署への届出を義務付けています。この就業規則には必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」と、定めをする場合には記載しなければならないとする「任意的記載事項」があります。絶対的記載事項には、就業時間や休憩・休暇・休日や賃金に関する事項があります。このうち賃金に関する事項は、内容が複雑で記載すべき事項が多いため、別規定(賃金規定)として作成するケースがほとんどです。
ではその賃金規定ですが、多くの場合には支払日や支払方法、昇給の時期、賃金の細目やその細目ごとの計算方法、控除する費用などを規定しておきます。特に基本給や職能給の金額が細かく規定される場合には更に別表として一覧表を作成して、例えば給与テーブルといった形で規定したりします。通勤手当や扶養手当といった個々の条件によって支払額が変わるような手当についてもここで定め、支給基準を明確にしておくことでトラブルを防ぐことができます。
また義務化されている制度として、育児休業と介護休業があります。事業主は法律に規定による条件を満たすものがその取得を要求した場合、労働者に育児休業、あるいは介護休業を与えなければならないとしています。ただし、取得の要件がとても細かいため、就業規則では「要件を満たした場合には、育児休業あるいは介護休業規定の定めるところにより休業を取得することができる」としておき、別途規定を作成するのが一般的です。私が作成する場合にも、同様の対応をしています。育児休業規定および介護休業規定は厚生労働省のホームページから雛形を取得することができますので、これを参考とするのもよいかもしれません。
そして最後にもう一つ、私がご依頼を受けた際に確認するものに「出張規定」があります。これは企業によってその必要性は異なりますが、社員が日帰りあるいは宿泊を伴う出張をする場合、その交通費や宿泊費、あるいは一定の手当を支給する場合にはその金額に関する規定を定めておくのがよいでしょう。例えば指定席かグリーン席か、宿泊するホテルはいくらまでか、前泊した場合の手当はいくらまでか等、こういった事項がケースバイケースではトラブルの元となります。キチンと明文化しておくことをおススメしています。
さて、みなさんの会社にはこのような規定はありますか。その他にも会社によっては細かく規定してあるでしょう。必要に応じて目を通してみるのもよいかもしれませんね。