「89%」で安心できますか?
国は、全国の災害拠点病院・救急救命センターの耐震化を進めていて、平成30年までに耐震化率89%という目標を置いています。該当の病院は全国で726病院、平成30年でもまだ1割弱、80病院は耐震基準を満たさないということになります。ちょっと怖い気がしませんか。
さて、この耐震基準には新旧あり、昭和56年(1981年)より前の建物に適用されているのが、「旧耐震基準」、以後の建物に適用されているのが「新耐震基準」となります。では、求められる基準ですが以下のようにされています。
◆旧耐震基準=震度5程度の地震に耐えられること
◇新耐震基準=震度6〜7程度の地震では崩壊・倒壊しないこと(建物内にいる人の命を守ることが優先されている)
22年前に起きた阪神淡路大震災では、医療の拠点となる病院も多くが倒壊し、救命医療どころか、入院している患者が亡くなるということが起きました。これをきっかけに国は、災害時の避難や医療、防災拠点となる学校、病院、官公庁の庁舎については、新耐震基準よりもさらにレベルの高い耐震性能を設定し、改修を進めています。既存の学校や公共施設などでは、建て替えるのではなく、耐震化補強という方法で、建物の外に鉄骨で筋交いをしたり、コンクリートの柱に鉄板を巻いたりしたものをよく見かけます。
日本では大きな地震が起きる都度、法律が見直されて耐震基準が厳しくなっていきます。新しい基準は既存の建物には適用されませんが、病院や学校については話は別です。防災の観点からも「89%」ではなく、「100%」を前提に対策を進めてほしいものです。
※写真は岡崎通・あやの小路本店(京都市左京区)
「病院の耐震改修状況調査の結果」に関する厚生労働省の資料はこちら <
2017年04月05日 05:25