8808万人、数字は「8」で縁起がいいけれど
8,808万人という人口は、2015年に比べて約3割減の数字です。人口構成では、高齢者人口(65歳以上)が3,381万人、生産年齢人口(15~64歳)が4,529万人、年少人口(14歳以下)が898万人です。記事では触れられていませんでしたが、2015年と比べると高齢者人口はわずか0.2%の減少であるにもかかわらず、生産年齢人口は42%、年少者人口は44%も減少することになります。日本の人口はどれくらいが適正であるのか、もしかしたら今が多すぎて、2065年が適正な人口であるなら、減少すること自体は大きな問題でないのかもしれません。人口に見合った経済規模を甘んじて受け入れるならば、労働者となる生産年齢人口が減ってもいいのかもしれません。ただし、避けて通れない問題があまりに大きすぎませんか?
まず、高齢者人口は現状のままであることです。言わずもがなですが、社会の仕組がそのままであれば、莫大な社会保障費(年金・医療・介護)を、今の6割弱の生産年齢人口で負担することになります。そもそも過去のツケ(国債)も払わなければなりません。経済規模が縮小する中で、どこから税金や社会保険料をひねり出すのでしょう。
次に、1億2,800万人を前提に建設された社会インフラやハードを誰が使うの、誰が修理するのという問題です。今でも全国あちらこちらで高速道路が開通し、いずれリニアもできます。都市部では再開発で高層の商業ビルや大規模な公共施設、マンションがどんどん建設されています。50年後、特に都市部では高齢化が進むといわれますが、いったい誰が使うのか、誰が維持メンテをするのでしょう。人もいない、お金もないと考えると、行きつく果てはかつて大都市といわれた街が、シャッター通りとなった光景のように思えてしまいます。
50年後、8,808万人の人たちが少なくとも今と同じレベルの生活を安心して送れるように、今からリスクを減らしておくことが必要です。50年後を見据えて、有効に使えるような社会資産に投資するのがよいのではないでしょうか。
※写真は京都美術館正門(京都市左京区)
2017年04月12日 05:38