保険金の支払いが人工知能(AI)で判断されます
多くの保険会社では契約者から保険金の支払いの請求があった場合、判断のレベルに合わせて審査担当者がわかれています。例えて言うなら、簡単なものは経験の浅い人あるいは支社の審査部で、難しいものは経験の長い人あるいは本社・本部の審査部といった具合です(※すべてとは限りません)。入院や手術に関する保険金の請求の場合、契約者から提出された請求書や診断書の内容により、例えば病気やけがの程度、治療(手術)の部位や方法によって支払う保険金額が変わります。保険会社も職員だけでなく、嘱託している医師の判断等も加味して支払いの有無や保険金額を決定していますが、複雑な判断を伴う場合、その分コストや時間が多くかかることになります。
かんぽ生命の場合、年間250万件の請求があり、そのうち約10万件が判断が難しく、経験のある約200人の社員にしか審査事務できないケースとのこと。導入されたAIでは過去500万件の事例を学習しており、この中から提出された診断書と似た過去の事例を見つけ出し、何%似ているかを審査担当者に提示します。担当者は過去の事例を参考に審査することで負担軽減を図るという仕組みです。これにより経験の浅い担当者でも難しい案件を審査できるようになり、全体の作業負担の軽減、ワークライフバランスの向上に繋がることを目的としています。
ちなみに、今回導入されたAIは、IBMが開発した「ワトソン」という製品です。このAIの機能はIBMのホームページで一部公開されており、体験することができます。私も画像認識の機能を試してみました。類似するいくつかの要素ごとにスコアが示されます。例えば、今日のブログの写真を判断させると、
要素 スコア
rosebud cherry 0.87
cherry 0.96
tree 0.96
plant 0.96
fuji cherry 0.59
Japanese flowering cherry 0.53
carnation color 0.85
brick red color 0.81
どうでしょう。一番スコアの高い要素は、「cherry(桜)」「tree(木)」「plant (植物)」ということで、おおおよそ類似した項目に高いスコアが付いています。皆さんも試してみてはいかがでしょうか。音声認識や性格判断などもできるようです。性格をAIに評価されるのは、ちょっと複雑な気もしますが。
※写真は鴨川銀杏館前(京都市上京区)
2017年04月18日 05:28