社会保障協定とは
国際化が進む中で、日本から海外で、或いは海外から日本に来て就労する人が増えてきています。そういった人は自国の社会保障制度に引き続き加入しつつ、かつ相手国の社会保障制度にも重複して加入せざるを得ないケースがあります。また、例えば年金制度の場合、受給資格を得るには一定の加入期間(日本の基礎年金は25年、今年8月からは10年に短縮)が必要な場合、どちらかの国で払った保険料が掛け捨てになるということも起きています。
社会保障協定はこういった弊害をなくすために2国間で結ばれる協定です。その内容は大きく2つ。ある人がアメリカに派遣されたとします。
①アメリカでの就労期間が5年を超えない見込みの場合は、アメリカでは社会保険への加入を免除し、日本での加入を継続適用する。5年を超える見込みの場合には、アメリカで加入し、日本の制度からは脱退する。
②アメリカと日本での年金制度への加入期間を通算して、年金を受給するために最低必要とされる期間以上(例えば日本で18年、アメリカで7年の合計25年)であれば、アメリカと日本での各制度への加入期間に応じた年金が、それぞれの国から受けられるようにする。
現在、このような協定はアメリカ・イギリス・韓国を初め16か国との間で発効しています。他、署名済で発効していない国が、イタリア・フィリピンなど4か国、交渉中が中国など3か国となっています。ただし、日本の年金制度には、「短期在留外国人の脱退一時金」という制度があり、帰国後2年以内であれば、一時金で受け取ることもできます。
今後も、グローバル化が進んでより多くの人が行きかうようになることを考えると、年金に限らず社会保障制度は、より連携せざるを得ないのでしょうね。
※写真は大田神社のかきつばた(京都市北区)・・・まさに今が見ごろです
「海外で働かれている皆様へ(社会保障協定)」に関する厚生労働省の資料はこちら
2017年05月15日 05:02