労働法で気になるニュースが続いています
一つ目は10日(水)、厚生労働省がホームページで公表したリストです。それは、昨年以降に労働基準法および関連法に違反し、摘発・書類送検した企業名の一覧です。その数334社、ざっと一覧を眺めてみましたが、そのほとんどは製造業や建設業にかかわる労働安全衛生法違反です。しかし、中には賃金未払いや、36協定に定めた労働時間の上限超過や所定休日を与えなかった等という企業もあります。
こういったリストを公表するのは言葉は良くありませんが、いわば見せしめによる抑止効果を目的にしているのでしょう。しかし、おそらくこれらの企業はほんの氷山の一角で、かつ、より悪質な違反もごまんとあることは残念ながら周知の事実です。こういった対応は必要ですが、もっと根本的な対策が必要であることも確かです。
二つ目は9日(火)、政府の規制改革推進会議が出した提言です。それは、残業時間の上限を労使で定めるいわゆる「36協定」を労働基準監督署に提出していない事業所に対し、労働基準監督官の業務を補うという形で、社会保険労務士が事業所に立ち入り、残業等の調査を行い、問題があれば監督官に引き継ぐというものです。厚労省もこの提言を受け入れるとのことですが、実現の有無や方法はともかく、従来の年金相談や年度更新時の行政協力とはちょっと毛色が違い過ぎていて、社会保険労務士の端くれとしては複雑です。果たしてどうなることか、注視していこうと思います。
この二つのニュース、いずれも背景にあるのは昨年の電通事件があるのでしょう。言うまでもなく労働時間の規制も必要ですが、労使双方の「働き方」に対する意識や価値観を変えることも必要ではないでしょうか。
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2017年05月12日 07:26