今年の夏、「25年」から「10年」にかわるもの
その答えは、老齢年金(老齢基礎年金)の受給に必要な資格期間です。昨年11月に成立した「年金機能強化法」を受けての対応です。これによって新たに64万人が年金を受け取れることになります。
老齢年金の受給に必要な資格期間は、
①実際に保険料を収めた期間(保険料納付済期間)
②一定の条件に該当し、保険料の納付が免除された期間(保険料免除期間)
③国民年金が強制加入となる前の任意加入期間に加入しなかった、あるいは海外居住期間など、いわゆるカラ期間(合算対象期間)
の①~③の合計が25年(300カ月)必要とされているのが現行の制度です。今年の8月からはこれが10年(120カ月)になります。
ただし、年金額に反映されるのは保険料を納付もしくは免除された期間である➀および②になります。ではもし仮に➀のみの10年間で今回の改定により年金を受給できることになった場合、いくらもらえるのでしょうか。今年度の年金の満額は40年(480カ月)で779,300円です。これをベースに計算すると
779,300円÷480カ月×120カ月=194,825円(月額16,235円)
となります。年金だけで生活するにはとてもムリな金額です。ただし、厚生年金の加入期間がある場合は、老齢厚生年金も併せて受給することができますので、その分年金額がプラスとなります。
当初は消費税アップとリンクして実施するという前提でしたが、結局年金の期間短縮が先行して今回の改正が実施されます。これから、より高齢化が進んで年金支給額が増えていく中で、条件が緩和されるというのは本当に必要かどうかと少し考えてしまいます。
※写真は狸谷山不動院境内にて(京都市左京区)
2017年05月25日 08:17