個別労働紛争解決制度とは
これは「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」に基づく労働者間あるいは労使間の労働紛争解決の制度です。相談は労働者または事業者どちらからでも可能で、解決する手段としては、次の3つが用意されています。
➀総合労働相談コーナー窓口での労働問題全般に関する相談
→解雇、雇止め、配置転換、賃金の引下げ、募集・採用、いじめ・嫌がらせ、パワハラなどの労働問題について相談を受ける
②都道府県労働局長による助言・指導
→当事者からの助言・指導の申出により、紛争の問題点を指摘し、解決の方向を示すことで紛争当事者による自主的な解決を図る
③紛争調整委員会によるあっせん
→当事者からのあっせんの申請により、当事者の間に労働問題の専門家が入り、双方の主張の要点を確かめ、調整を行い、話し合いを促進することで、紛争の解決を図る
相談窓口は、都道府県労働局や全国の労働基準監督署など380か所に設置されており、「無料・予約不要・秘密厳守」で相談できます。
厚生労働省のホームページでは平成28年度の制度利用に関する結果を公表しています。相談件数は9年連続で100万件を超え、相談内容のトップは「いじめ・嫌がらせ」とのことです。「いじめ・嫌がらせ」の件数は10年で倍になっています。
明らかな「パワハラ」や「モラハラ」はともかく、「いじめ・嫌がらせ」はする側・される側の普段の人間関係の良し悪しが一因になることもあります。例えば、上司からの厳しい注意も、人間関係が良ければ「自分の成長を期待されているから」と受け取れますが、悪ければ「ここまで言われるのは納得できない」と解釈されるかもしれません。この10年で倍になったということは、職場における人間関係が希薄になってきていることを暗示しているのではないでしょうか。
最近出席したある研修で、「職場の縦(上司・部下)、横(同僚)で普段どれだけコミュニケーションを取っているかが、労務トラブル・賃金トラブルの多い少ないに比例する」という話がありました。どれだけ職場がIT化し、効率化されても、人対人のコミュニケーションは大切ということですね。
※写真は岡崎神社境内の「狛兎」(京都市左京区)
「平成28年度個別労働紛争解決制度の施行状況」に関する厚生労働省の資料はこちら
2017年06月19日 09:15