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一般拠出金って何?

護王神社の「茅の輪」
先日、京都労働局にて、労働保険料の年度更新の窓口受付を担当してきました。そこで担当した事業主さんからよく受けた質問、
「一般拠出金ってなんなんですか?」

一般拠出金とは、「石綿健康被害救済法」に基づいて、平成19年4月から労災保険の適用事業主が、労働保険料の年度更新時に確定保険料と併せて負担するものです。拠出割合は、当初は賃金総額の1,000分の0.05でしたが、平成26年度からは1000分の0.02に引き下げられています。

「石綿」、記憶にありますか。2005年に兵庫県尼崎市で旧工場の周辺住民に、非常に高い比率で発症していた疾患の原因となった物質です。「アスベスト」もいいますが、その旧工場が大手機械メーカー、クボタの工場であったことから「クボタショック」とも報道された事件です。

疾患が業務災害として認定を受けることができる場合には、労災保険から給付を受けることができます。しかしアスベストは発症するまでの期間が長いため、業務上であるか否かの因果関係が証明できず、認定を受けることができないケースがあります。また、周辺住民や労働者の家族への二次被害は業務上とはいえないため、労災保険では補償されませんでした。このように労災保険の適用を受けることができない人に対する補償として、「石綿健康被害救済制度」が設けられ、その費用を社会全体で公平負担しようとするのがこの一般拠出金です。

ところで、アスベストを吸い込んで曝露したことが原因で発症する病気に「中皮腫(ちゅうひしゅ)」あります。心臓や肺、腹部の臓器を覆っている膜を作っている細胞(中皮細胞)にできるがんですが、この発症が今後増えてくると想定されています。というのはアスベストは今でこそ、輸入・製造が原則禁止されていますが、かつては70年代をピークに多くが輸入・利用されていました。アスベストを吸ったことによる病気の発症までの潜伏期間は40年前後と言われているため、まさにこれからが発症のピークにあたるのです。

アスベストはすべての産業において、その基盤となるハード(設備や機材)に利用されてきた故に、すべての労災保険適用事業者が応分にその負担をする、というのが国の方針で一般拠出金の根拠です。しかし、多少穿った見方をすれば、「公害」とも言えるのではないでしょうか。

ちなみに、私と同世代の人は、学校で当たり前のように石綿に触れていたのですが、覚えていますか? 理科の実験でビーカーを熱する際、ビーカーを置いた金網に円形についていた白(灰)色の物質、あれです。

※写真は護王神社の「茅の輪」(京都市上京区)・・・毎年「夏越の祓」前のこの時期に置かれます


2017年06月23日 09:08
FP・社会保険労務士事務所  つくるみらい
ファイナンシャルプランナー一柳賢司

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