過労死に対する労災補償状況が公表されました
労働者災害補償保険は、労働者が業務上または通勤途中の負傷・疾病・障害・死亡等を補償する制度です。過去のブログでも通勤途中の事故が労災適用になるならないというテーマを取り上げました。保険料は、全額事業主が負担することになっているため、みなさんの給与明細を見ても、年金や健康保険のように保険料が控除されていることはありません。
ちなみに保険料率は業種ごとに定められており、一般の事業で年間の賃金総額に対して1000分の2.5~88となっています。
さて、公表された厚生労働省の資料を見るに、精神障害の申請件数が統計上年々増加しているのがわかります。これに対し認定件数(認定率)は、ほぼ横ばい。これをどのようにみたらよいのでしょうか。昨今、人手不足やクレーム社会と言われ、また短期間・高品質が求められることで、過剰に負荷がかかっていることの表れているのかもしれません。が、一方で認定はより厳しくなっているのでしょうか。
また、業界のばらつきも気になります。申請件数が多い業種としては、「製造業」「医療・福祉」「卸売・小売」「運輸」「建設」「情報通信」です。従事者が多いということもあるかもしれませんが、「医療・福祉」についてはそれだけでは測れない課題があるように思えます。
幾分、推測の域を出ないのですが、特に福祉業界は慢性的な人手不足に加えて、給与面でも決して恵まれているとはいえず、内憂外患といった状況にあります。様々な負担が従事者の精神面を蝕んでいっているのではと思います。今後益々介護を必要とする人が増える中で、精神面、いわゆる「心の病」に苦しむ人が増えるのは大きな問題です。
高齢化の上昇と医療・福祉業界の労災請求件数の増加は、リンクしているように思えてなりません。
※写真は二条城・西南隅櫓(京都市中京区)
平成28年度「過労死等の労災補償状況」に関する厚生労働省の資料はこちら
2017年07月03日 05:07