「ざいけい」って聞いたことありますか?
そもそもよく耳にする「財形貯蓄」って何でしょうか? 正式には、「勤労者財産形成促進制度」といい、勤労者の財産形成を国や事業主が支援する制度です。大きく分類すると、金融機関に積み立てていく「財形貯蓄制度」と、貯蓄をしている人に融資をする「財形持家融資制度」に分かれています。さらに、「財形貯蓄制度」は、貯蓄の目的によって、「一般財形貯蓄」「財形年金貯蓄」「財形住宅貯蓄」に分かれています。よく言われるメリットは、給与から天引きされることと、一定の積立額までは非課税枠があることです。
「一般財形貯蓄」「財形年金貯蓄」「財形住宅貯蓄」の違いを簡単にまとめると
- | 一般財形貯蓄 | 財形年金貯蓄 | 財形住宅貯蓄 |
---|---|---|---|
積立の目的 | 自由 |
60歳以降の5年 以上の期間にわたって 年金を受け取ることを 目的とすること |
住宅取得・増改築 |
契約時の年齢制限 | なし | 55歳未満 | 55歳未満 |
積立期間 | 3年以上 | 5年以上 | 5年以上(*1) |
非課税枠 | なし | あり(*2)(*3) | あり(*2) |
(*1)住宅取得・増改築のための払い出しは5年未満でも可能
(*2)財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄をあわせて元利合計550万円までの利子が非課税
(*3)保険型については払込保険料385万円まで非課税
貯蓄の方法は、事業主が給与から天引きをし、金融機関(銀行、証券会社、保険会社)などに積立を行います。よって、どの会社でも利用できるという訳ではなく、財形制度を持っている会社の従業員でなければ利用できません。もし「財形制度を使って積立をしよう」という場合には、まず会社に確認をする必要があります。
さて、この財形制度に実際に「どれくらいのメリット・デメリットがあるか」ですが、強制的に積み立てができる、元本割れがないという点からみれば大きなデメリットはないと思います。ではメリットとなると、どうでしょうか。非課税枠がありますが、この低金利時代に元利合計550万円までとなると、大きな節税効果はありません。また、住宅取得時の融資を受けるとしても、5年固定の貸付金利は0.71%(29年7月1日現在)ですが、これより低い金利の住宅ローンを利用できる銀行もあります。実際、この5年間は契約件数が減り続けている理由には、メリットが小さいこともあるようです。
今の金利を考えると、「強制的に天引きされる」ということを生かして積み立てる、「一般財形貯蓄」が小さいなりのメリットを生かした活用方法ではないでしょうか。
※写真は常寂光寺境内にて(京都市右京区)
平成28年度の「勤労者財産形成促進制度」の状況に関する厚生労働省の資料はこちら
2017年07月19日 08:41