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21万7000組

京都市役所(20170908)
タイトルの件数、21万7000組、これが何の数字か分かりますか?

これは、昨年2016年に離婚した夫婦の数です。一時期と比較して減少傾向にはありますが、人口1000人あたり、1.73件、1日600組が離婚していることになります。

さて、いざ離婚というときには、財産分与や子供の親権・養育権等の話し合いが必要ですが、もう一つ、分割できるものがあります。それは公的年金です。以前は夫が会社員、妻は専業主婦という夫婦が熟年離婚した場合、夫は老齢基礎年金+老齢厚生年金が受給できるものの、妻は老齢基礎年金のみの受給となり、夫婦の年金に大きな差がありました。言い換えれば、専業主婦の離婚は女性に非常に不利な制度でした。

この不公平感をなくすため、平成19年4月から厚生年金の分割制度が導入されています。分割の方法は2種類、①「合意分割」と②「3号分割」があります。
➀合意分割
婚姻期間中の夫婦それぞれの厚生年金(報酬比例分)の加入実績を合算し、最高2分の1を限度に分割する制度です。例えば夫の報酬比例分が120万円、妻が60万円の場合、合算すると180万円となり、その2分の1を限度として分割すると、夫は90万~120万、妻は60万~90万の範囲で年金を分割します。この分割には夫婦間の合意が必要で、合意できない場合には家庭裁判所の決定を必要とします。
②3号分割
妻が専業主婦(3号被保険者)であった期間中の夫の厚生年金(報酬比例分)の加入実績には3号分割が適用されます。この分割には夫婦間の合意は必要とせず、夫の報酬比例分の2分の1を妻に分割します。ただし、この分割は平成20年4月以降の期間のみに適用されるため、それ以前の期間については➀の合意分割を適用します。

この2つの制度、どちらか一方しか使えないとか、どちらを使うとより分割分が増えるのかというものではありません。夫婦の厚生年金の「加入履歴」「専業主婦であった期間」「平成20年4月」といった要件で自動的に適用されます。以下に3つの事例を示します。

【事例その1】
夫会社員、妻専業主婦の夫婦が平成10年に結婚し、平成28年に離婚した場合
平成10年~平成20年3月までは合意分割、平成20年4月以降の期間については3号分割が適用されます

【事例その2】
夫会社員、妻会社員の夫婦が平成10年に結婚し、平成28年に離婚した場合
平成10年~平成28年まですべての期間について合意分割が適用されます

【事例その3】
夫会社員、妻会社員の夫婦が平成21年に結婚し、平成28年に離婚した場合
平成21年~平成28年まですべての期間について合意分割が適用されます

なお、合意分割で双方がもし合意できない場合には、家庭裁判所に年金分割の調停を申し立てることになります。調停でも合意できない場合には、裁判となり裁判官に決めてもらうことになります。これに対し、3号分割は合意は必要ありませんので、分割を請求する側が一人でできます。

全体の離婚件数の減少に反して、熟年離婚自体は増える傾向にあります。夫婦の共有財産である年金を分割するこの制度、できれば縁のないほうがいいですよね。

※写真は京都市役所(京都市中京区)

2017年09月08日 08:42
FP・社会保険労務士事務所  つくるみらい
ファイナンシャルプランナー一柳賢司

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