社会保障給付はどこまで膨らむ
前年度より約2.7兆円の増加で過去最高額を更新しました。この金額はあくまでも社会保険料や税金から支出された分で、自己負担分は含まれないため、実費としての金額は更に増えることになります。ちなみに、国民一人当たり90万3700円。幸いなことに私は、ここ数年は整体とコンタクトレンズ交換時の眼科検診くらいしか行ったことがありません。保険は相互扶助とはいえ、90万というのは驚きです。
さて、全体で約115兆円、国家予算を凌ぐ額です。少し比較してみると、
・リニア新幹線の建設予定費(東京ー名古屋間)5.1兆円(鉄道・運輸機構、JR東海発表資料より)
・関西国際空港の建設費 1期、2期工事併せて3.1兆円(会計検査院資料より)
・アメリカの最新の原子力空母1隻 1.5兆円(報道資料より)
・東京都のGDP(都内総生産) 94.9兆円(東京都HPより)
比較する基準が小さいのか、社会保障給付費があまりに大きいのか、適当な比較ができないほどです。しかし、あの「関空」が毎年40個建設できると思うと、途方もないない金額であることがわかります。
今回、伸びが大きかったのは医療費で、特に高額薬の増加がその一因です。つい最近の新聞にもありましたが、最近はがん治療に使用する抗がん剤の進歩には著しいものがあります。ただ、抗がん剤は高額なものが多く、治療も長期になります。いくら保険適用され、高額療養費の適用を受けたとしても、長期にわたる継続的な投与を患者があきらめざるを得ない、という現実もあるのです。
医学が進歩して、いい治療を受けるためには相応のお金が必要というのは、市場の原理に従った必然かもしれません。しかし、医学の進歩が結果として個人はもちろん、社会全体に大きな負担となることは、何とも皮肉なことです。
※写真は毘沙門堂(京都市山科区)
2017年08月03日 08:33