最低賃金が改定されます
最低賃金とは、企業(事業主)が、労働者に支払わなければならない賃金の最低額のことです。厚生労働省の中央最低賃金審議会があらかじめ都道府県ごとに「これくらいを目途に引き上げ額を検討しなさい」と目安額を示し、都道府県の審議会でこれを検討するという仕組みで改定されます。
今回の引き上げで、全国の平均で25円(3%)上がり、848円となりました。ちなみに最も高いのは東京都の958円、低いのは福岡県を除く九州の全県、沖縄県、高知県の737円となっています。引き上げ額は、安倍政権の強い意向もあり、前年に引き続き最大とのことです。
もっともすべてオーライという訳には行きません。人件費の増大は中小企業には大きな負担になります。最近、今までにない人手不足が顕著化してきており、最低賃金の引き上げは、人手不足と人件費増加という二重の負担にもなりかねません。とはいえ、引き上げなければ人は集まりません。でも人を雇えば人件費が上がるというジレンマとも言えます。
企業からみれば、人件費が上がるのであれば一層の経費節減に取り組まざるを得なくなります。業務全体を見直し、作業の効率化を進めて、時間外手当の支払いを抑えたり、業務をアウトソーシング(外注)化して、従業員を減らすといったことも考えられます。労働者にとっては、マイナスに作用することも有り得るといえます。
最低賃金の引き上げは、全体の底上げにはなりますが、企業によっては経営体力を削ぐことにもなりかねない、両刃の剣です。最低賃金の引き上げも重要な政策ですが、これに併せて、中小企業の収益が上がる政策にも取り組んでいただきたいものです。
「すべての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」に関する厚生労働省の資料はこちら
2017年08月21日 08:47