65歳以上の人も雇用保険の対象です
「近いうちに67歳の人を採用する予定があるんですが、雇用保険はどうしたらいいんでしょうか」
結論から言うと、
「67歳でも雇用保険の被保険者となります。ただし、しばらくの間、保険料の徴収は不要です」ということになります。
雇用保険は労災保険(労働者災害補償保険)と併せて、「労働保険」と言われており、保険料は一部のケースを除いて、一括し「労働保険料」として納付します。
保険料は、賃金総額に保険料率を乗じて計算されます。保険料率は労災保険・雇用保険によって異なることはもちろん、業種によっても異なります。また、ベースとなる賃金総額も、一つの事業者内でも労災保険と雇用保険で対象となる労働者の範囲が異なる場合があり、その場合には賃金総額も異なります。
労災保険は、労働者を一人でも使用する場合、正社員・パート・アルバイトにかかわらず、また個人・法人の形態にかかわらず、加入義務があります。また、個人事業主や、代表取締役等は、、同居の親族は原則として対象外ですが、不法就労の外国人は該当します。
一方、雇用保険は原則として以下の①~③に該当する場合、被保険者となることはできません。
①1週間の所定労働時間が20時間未満である者(日雇労働者を除く)
②継続して31日以上雇用されることが見込まれない者(日雇労働者を除く)
③学校教育法第1条、第124条又は第134条第1項の学校の学生又は生徒(休学中や定時制課程の学生、卒業した後も引き続き当該事業に雇用されることとなっているものを除く)
④65歳に達した日以後に雇用される者(同一の事業主の適用事業に同日の前日から引き続いて65歳に達した日以後の日において雇用されている者を除く)
さて、今回のご質問は④に該当し、従来であれば雇用保険の適用除外となるケースでした。しかし、この規定は今年の1月から廃止されたため、65歳になった日以降に新たに雇用する場合、事業主は採用した翌月の10日までに加入の手続きをしなければならなくなりました。もし、労働者から加入を希望しないという申し入れがあっても、強制加入であるため、選択の余地はありません。
なお、保険料については猶予措置として、平成31年度末(平成32年3月)までは、労使負担分ともに免除となりますので、給与からの徴収は不要です。
65歳以上の人も強制加入となったことで、保険料の徴収がされることになりますが、メリットもあります。それは、各給付金の対象となることです。高齢求職者給付金、育児休業給付金、介護休業給付金、教育訓練給付金について条件を満たせば支給対象となります。
65歳以上の人を雇用する場合には、手続きをお忘れなく。
2017年08月25日 07:33