ある企業の「がんとの両立支援施策」について
「がんとの両立支援施策について」
がんは、今や国民の2人に1人がかかり、また死因の3割を占める「国民病」とも言える病気です。この数字だけを見ると、「ガン=死」というイメージがどうしてもついて回りますが、延命率や治療方法など、実際にはひと昔前とは大きく変わってきているという面もあります。
そのポイントは、「個別化医療」と「化学療法(薬物療法)」です。
まず「個別化医療」とは、患者個々の病状や環境に応じた医療のことです。一口に同じ部位のガンといっても、進行度合や転移・浸潤の有無は人それぞれ異なります。また、患者を取り巻く生活環境(仕事や家庭)も同様です。現在では、そのような事柄をトータルで考え、また患者の要望も踏まえて、治療方針が決定されます。また、医療側も一人の医師がすべてを診るのではなく、専門医を初めとする多くのスタッフがかかわるようになってきています。
また、がんの治療方法には主に3つ、「手術療法」「化学療法(薬物療法)」「放射線療法」がありますが、このうち「化学療法(薬物療法)」は近年大きく進歩しています。がん細胞だけを攻撃する分子標的治療薬など、さまざまな抗がん剤が開発され、いまでは手術と変わらない効果を得られる場合もあります。
このようながん治療を受ける上で、患者が抱える大きな問題が「仕事」と「お金」です。がん治療は、今は「通院による治療」が主流で、多くの場合は通院のために会社を休んだり、短時間勤務などをする必要があります。また、高額な抗がん剤治療を長期にわたって受けることもあります。今回の伊藤忠商事の施策はこういった問題を会社で支援しようとするもので、おおきな3つの施策を同社ホームページより抜粋しますと、
1.最優先事項として、予防と早期発見、そして治療をサポートする体制強化
2.がんに罹患しても、安心して職場で相談し、本人の意思を尊重しながら職場の仲間が皆で支援をする体制構築
3.現在の職場を最善の居場所として、安心して働きながら治療に専念し、活躍出来る環境整備
となっています。
具体的には、高額な医療費の肩代わりや、がんに特化した検診の受診義務化、病状の部署内での共有などを行うとのことです。また、もし社員ががんで死亡した場合には、残された配偶者やこどもが伊藤忠グループ企業への就職を希望した場合、優先的に採用されます。
ここまでの対応ができるのはごく一部の企業かもしれません。が、有給休暇の時間単位休の導入や、休職制度の見直し等によって、通院や短期の治療入院の際に取得しやすくする、といった対応はそれほどハードルは高くありません。
いつ、だれががんになるか分かりません。もしかしたら自分かもしれません。会社としてできる最大限のバックアップを考えておいてはどうでしょうか。
2017年08月26日 07:50