「貧困対策」「ボランティア」「採用試験での加点」、腑に落ちますか?
大阪市教育委員会は30日、「子どもの貧困」対策として、無料・定額で食事を提供する「子ども食堂」などでボランティア活動をした学生らを対象に、市の教員採用試験での加点を検討する方針を明らかにした。早ければ2019年度実施の試験から導入する。
この記事を読んで、最初は「いいことかな」と感じつつも、何かしっくりこない違和感がありました。改めて読むと、3つのキーワードが、「本来結びついてはいけないものではないのか」ということが、しっくりこない原因でした。
その3つのキーワードとは、「子どもの貧困対策」「ボランティア」「教員採用試験での加点」です。最近大きな社会問題となっている子どもの貧困対策、大阪市が自治体として取り組むことは必要なことです。またそこでボランティアとして、教員を目指す学生が実態を学ぶことも意義があると思います。ただ、そこに見返りがあるのはどうなんでしょうか。
本来、ボランティア活動というのは奉仕であって、そこに損得勘定が入る余地はありません。企業が採用面接等でボランティア活動の経験等を聞くことはありますが、それは加点ありきではありません。今回の大阪市の方針は、最初から加点ありきになっています。かつ、それが教員とはいえ、公務員の採用条件として「加点」されることが本当にいいんでしょうか。
厳しい言い方をすれば、公務員は公の為に働くことが使命です。学生とはいえ、公務員を目指す人が、ボランティアをすることでそれが「加点」になるというのは、本末転倒のような気がします。もし必要であるなら、むしろ必須要件として教育実習の中で、全員が経験しておくべきではとも思います。
「子どもの貧困対策」と「採用試験での加点」、「ボランティア」と「採用試験での加点」というのは、結びついてはいけないキーワードです。
「採用試験のプラスにする」という目的を持った学生にとっては、それはもはや「ボランティア」ではありません。子ども達に対しても大変失礼なことではないでしょうか。
※写真は本能寺(京都市中京区)
2017年09月01日 05:02