過重労働解消のためのセミナーを受けてきました
大手広告代理店の事件をきっかけに、過重労働に対する行政機関の監督も厳しくなっています。今年4月からは全都道府県の労働基準局(47局)に違法な長時間残業の捜査・調査を専従して行う、通称「かとく」(過重労働撲滅特別対策班)を設置し、強制捜査権をもってにらみをきかせています。
では、その「過重労働」の定義ですが、これは労災法でいうところの「過労死ライン」と同じです。月に100時間超の残業、もしくは過去2~6ヶ月の平均残業時間が80時間超となった場合が該当します。
この過重労働、繁忙期や業務事情でやむを得ずせざるを得ないということもあるでしょう。でも、これが慢性的になり長期にわたって続くとどういうことになるか、おおよそ想像に難くありません。(セミナーでも取り上げられました)
➀仕事の質(生産性、品質)が劣化し、やがて顧客や消費者に影響を及ぼす
②労働災害による事故やによるケガ、慢性的な疲労による疾病を引き起こす
③病気やケガをした社員に対する損害賠償責任が会社に生じる場合がある
④離職者が増え、求人サイトなどへの書き込みによる風評により、新規採用も難しくなる
等が考えられますが、いずれも企業が存続すること自体が難しくなるようなことになりかねません。
また、ある調査では週労働時間が60時間以上の人の仕事への満足度は35%、裏を返せば3人に2人が会社に対して不満をもち、退職を考え始めるレッドラインを超えているとのことです。過重労働は、結局企業にとってもっとも大切な「人」を失ってしまうということです。
この過重労働を減らしていく、あるいはなくすにはどうすればよいか?
最もキーとなるのは、「経営者・管理者・労務担当者の意識改革」です。企業の目的は「いかに有効に人的資源を活用して収益を上げるか」というところにあります。有効活用の手段の一つには、「時間も少しでも長く」ということもあるでしょう。しかし、労働者の健康の確保なくして企業は存続しえないことの方が重要です。その点を経営者や管理者が正しい認識をもって取り組まないと、過重労働を減らすことはできません。
今は、適正な労働時間・労働環境の管理は、企業が配慮すべ標準仕様となっています。ここを怠ってしまうと、今後ますます人の採用も難しくなります。もし、まだ対応が遅れているというのであれば、早急に対策されることが肝要です。
2017年09月09日 10:49