新規学卒就職者の離職率、「3年30%」
「学卒者の離職率、3年で30%」というのは、私が前職で採用担当者をしていた頃にもよく言われた数字です。実際に平成7年以降、多少の上下はありますが、学卒者の3年以内の離職率は30~37%で推移しています。
そして、この数字は企業の規模によっても大きく違います。従業員1,000人以上の企業では25%であるのに対し、30~100人は40%、5~29人で50%、5人未満の場合には60%にもなります。
大手企業の場合には、ある程度の離職者を織り込んで採用をしているところが多く、それほど大きな影響はないのかもしれません。しかし、中小企業ではそこまでの余裕はなく、せっかく採用した若手社員が早期に退職していくことは、企業の将来に大きなリスクとなります。また、退職する側にとっても、マイナスとなります。
この原因、一番大きいのは「ミスマッチ」ではないでしょうか。大手企業は、企業のブランドが社会に浸透していて、それを理解して応募してきた多くの学生から採用者を厳選できます。しかし中小企業では、大手に比べれば数少ない応募者の中から、「とにかく採用したい」という企業側の思いと、「とにかく就職したい」という学生の思いが優先されます。そのため特に学生は、「その企業が何をするのか、就職して何ができるのか、自分に合っているのか」というポイントをおざなりにしがちです。その結果、実際に就職してから「こんなはずではなかった」ということになるのでしょう。
中小企業では、まず学生にしっかり企業ブランドを伝える必要があります。また、学生が自社の仕事に向いているのかどうかを見極めて、採用する責任もあります。大手企業であれば様々な部署・業務があり、適性に応じた配置転換も可能ですが、中小企業ではなかなかそうはいきません。職種が限定されればされるほど、仕事の内容を正確に伝え、特に慎重に採用する必要があります。私は、特に学部生には何度も面接をして、会社の事業内容を具体的に伝え、またその学生がやりたいことをとことん聞くようにしていました。企業側の「まずは採用、そのあとで教育」だけではミスマッチを生む可能性は大きくなります。
もちろん、「3年30%」の理由はミスマッチだけではありません。ただ、そのきっかけの多くが採用活動・就職活動の中にあることは確かではないでしょうか。
「新規学卒就職者の離職状況(平成26年3月卒業者の状況)を公表します」に関する厚生労働省の資料はこちら
※写真はサロマ湖(北海道・佐呂間町)
2017年09月22日 05:27