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振替加算の支給漏れ問題について

志賀越道添いの神社にて(20170926)
9月13日、日本年金機構のホームページで、以下のプレスリリースがありました。
ファイルダウンロード 新規ウインドウで開きます。振替加算の総点検とその対応について」

内容は一定条件を満たす老齢基礎年金の受給権者に本来支給されるべき「振替加算」について、不支給が見つかったというものです。ではこの「振替加算」とはどういうものか? について少し説明したいのですが、その前に、「加給年金」についても知っておく必要があります。併せて、ここで簡単に説明します。

まずは、加給年金。
これは、老齢厚生年金の受給権者に一定の扶養家族がある場合に、年金にプラスして支給するもので、例えて言うなら扶養手当のようなものです。夫(もしくは妻)が老齢厚生年金の受給権者と仮定して、夫(もしくは妻)の年金の被保険者期間が20年以上(原則)ある場合に、生計を維持する以下の者がいる場合に加算されます。
➀65歳未満の配偶者がいる
②18歳に達する日以後、最初の3月31日までの子がいる
③20歳未満の障害等級1級または2級の子がいる
加算額は、配偶者および2人目までの子は年額でひとりにつき224,300円、3人目以降の子はひとりにつき74,800円です。それぞれ上記①~③の年齢を超えたり、障害の状態でなくなった場合には打ち切りとなります。

次に振替加算。
65歳未満の配偶者がいる場合、夫(もしくは妻)の老齢厚生年金に加給年金がプラスされることは上記の通りです。やがて配偶者が65歳となったとき、加給年金は打ち切られます。これは、「配偶者自身が老齢基礎年金の受給権者となるため、もう扶養手当である加給年金は要らないよね」というのが理由です。しかし、配偶者が専業主婦(主夫)であった場合、昭和61年までは年金への加入が任意であったため、受給できる年金額が少ないケースがあります。もし、加給年金よりも少ないとなれば、夫と妻の年金合計額としては、配偶者が65歳に達したことで減額となってしまう場合もあります。そこで、夫(もしくは妻)の老齢厚生年金にプラスされていた加給年金を配偶者の老齢基礎年金に振り替える、振替加算として支給することにしたのです。

今回の主な原因は、かつて年金制度が分かれていた公務員について、加給年金→振替加算とする仕組みにいくつかの不備が重なって支給漏れを起こしたようです。プレスでは、コンピュータシステム上の情報の共有・管理ができていないことが一因とされています。

システムでは、新しい機能の追加や変更、複数のシステムを統合するような場合、想定されうる様々なケースや条件を組み合わせた検証を実施します。今回も公務員の年金制度である共済年金と厚生年金のシステムの連携時には、同様の検証がされているはずですが、そこに漏れがあったのでしょうか。

個人的な意見としてですが、「加給年金→振替加算」というごく基本的なパターンでこのような不備があったということは、「まだ他に何かあるのでは?」という疑念を持ってしまいます。余計な心配であればよいのですが。

※写真は北白川天満宮境内にて(京都市左京区)

2017年09月27日 05:14
FP・社会保険労務士事務所  つくるみらい
ファイナンシャルプランナー一柳賢司

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