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試用期間は免罪符ではありません

神光院境内にて(20171012)
「試用期間」、よく採用時の条件によく使われる言葉ですが、そもそもこの「試用期間」とは何でしょうか。

「試用期間」とは、企業が従業員を採用する場合に、その適性や能力、勤務態度などを見極めるために設けられた期間です。多くの企業の場合、1~3ヶ月、長くても6ヶ月が限度で、過去には1年とした場合に違法とされた判例もあります。採用前の短期間で、すべてを見極めることは難しいため、一定の猶予期間とも言えます。

とはいえ、試用期間だからといって正当な理由なく解雇することはできません。就業規則に定める懲戒処分に該当するような、例えば無断欠勤が続く、勤務態度・勤務成績不良、採用条件の詐称といった重大な事由や、あるいはその理由を明確に証明できるといった証拠等が必要です。また、解雇にあたっては、通常の労働者と同様に30日前に解雇予告通知を行うか、30日分以上の解雇予告手当を支払った上での解雇の手続きが必要になります。(労働基準法第20条)

ただし、雇入れ後14日以内の試用期間中であれば、解雇予告の手続きを必要とせずに即時に解雇することは可能です(労働基準法第21条)。また、試用期間中はは賃金を本来より低くするということも可能ですが、あらかじめ雇用契約時にその旨を明示し、かつ都道府県ごとに定める最低賃金を下回らないことが必要です。

そしてよくある誤解、試用期間中は社会保険に加入させなくともよいと考えている、あるいは少しでも社会保険料の負担を軽減するために、試用期間を設けて加入させないとしている事業者がもしあれば、それは間違いです。試用期間中であるなしにかかわらず、労働者として雇用するに至った場合、事業主は社会保険・労働保険に加入させる義務があります。2ケ月以内や4カ月以内の季節的業務に従事する場合等、加入を除外されるという規定もありますが、これはあくまでもその期間満了後に、労働契約が終了することが明らかである場合に限られています。試用期間とは全く別の概念です。

試用期間であっても、会社が相応の負担をし、労働者やその家族の不安を取り除くことが、結果的には会社の利益になります。試用期間を事業主としての一方的な解釈で濫用しないことが重要です。

※写真は神光院境内にて(京都市上京区)
2017年10月12日 05:17
FP・社会保険労務士事務所  つくるみらい
ファイナンシャルプランナー一柳賢司

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一柳 賢司

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