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憲法改正はそんなに簡単にはできません

法然院(20171028)
先の衆議院議員総選挙で、与党が再び定数の3分の2を超える議席を占めることになり、「改憲(憲法改正)」について、今後本格的に議論が始まるかもしれません。野党は特に憲法9条については改憲反対との立場ですが、いざというとき、憲法はそんなに簡単に変えられるものではないのです。

普通、法案を国会に提出するには、内閣が提出する場合と、議員が提出する場合があります。議員が提出する法案を「議員立法」といいますが、これには衆議院では議員20人以上、参議院においては議員10人以上の賛成が必要となっています(国会法第56条)。ちなみに予算関連の法案の場合には、衆議院は50人、参議院は20人とハードルが高くなります。では、憲法改正の場合はというとさらにハードルは高く、衆議院では100人以上、参議院では50人以上の賛成がなければ、国会で議論が始められないのです(国会法第68条)。

そして、第二のハードルとしては国会での決議、通常の法案では、衆参両議院で「出席議員」の過半数の賛成で可決します。もし、衆議院で可決した法律案が参議院で否決された場合には、衆議院で「出席議員」の3分の2以上で再可決すれば法案は成立します(憲法第59条)。しかし、憲法改正の場合には、衆参両院でそれぞれ「総議員」の3分の2の賛成がなければ可決しません(憲法第96条)。国会議員一人一人の明確な意思が求められるようになっていて、単に現状の国会議員数だけではなかなか越えられないハードルです。

そして第三のハードル、それは国民投票による過半数の同意です。日本ではまだ一度も行われていないため、案外知らない人も多いのですが、憲法改正は、最終的に国民が決めることができるのです。どんなに時の政治家が変えたいといっても、最終判断は国民に委ねられています。

ということからすると、第三のハードルでしっかり私たちが判断すれば、仮に与党が3分の2を持っていても、それほど危険なこととは考えなくてもよいとも言えます。むしろ、そのプロセスや議論の内容をしっかりオープンにしておいて欲しいと思います。

憲法改正手続きについての総務省の資料はこちら

※写真は法然院山門(京都市左京区)
2017年10月28日 07:42
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