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「育児と仕事の両立の体現」はルールを守ることに優先するのか

聖アグネス協会(20171125)
先日、熊本市議会で育児中の女性市議が生後7か月の子供を同伴して議場に入ったことがニュースで取り上げられていました。結局、議長の説得で子供は議場の外の知人に預けることとなりましたが、この行動についてどう思いますか。

この行動について、市議は「仕事と育児の両立を体現したかった」との思いから、と説明していますが、ちょっと方法が違うのではないか、というのが私の意見です。今後、より女性が社会進出するためには、あるいは仕事と育児の両立のためには、変えていかなければいけないルールや、解決すべき課題は多くあります。またそうすべきであることも間違いないのですが、一方で今あるルールは守らなければなりません。少なくとも、議場には入れないというルールがある以上は、まずはそれを守らなければ、そもそも議論すらできなくなります。

今回の行動、問題提起というには少々パフォーマンスが過ぎると受け取られかねない行為です。議員は国会議員だけでなく地方議員にも、その職務の一つに社会のルールを定めるというものがあります。その人達が自らそのルールを破るというのは、仮にそのルールが悪法であるとしても、それは法治国家を否定してしまうことになります。法律やルールを破ることが恰好よく肯定されるのは、テレビドラマや映画といったフィクションの世界です。もし現実でこれがまかり通ってしまったら、ルールを守ることの重要性を子供達にどうやって教育したらいいのか、ということになってしまいます。

話が少しそれましたが、もっとも残念なことは、こういった行動が続くと逆効果になってしまうこと。女性の社会進出への機運自体が否定されてしまいかねないということです。そのためにも、遠回りでもやはりしっかりしたプロセス、議論を経ることが重要です。この市議もまったく唐突にしたことではないと思いますが、思い通りに行かないからと言って、実力行使・強行突破はよくないですよね。市議会議員ですから、もっと慎重に行動しなければならないはずです。

今後、さらなる女性の社会進出と、子育て・介護の問題は切り離せない問題であることは間違いのないこと。であるがゆえに、企業や組織でも考えなければなりません。育児は次の世代を育てることで、介護は自分自身の将来のことでもあるから。まだまだその取り組みは進んでいないというのは現実で、そのことに一石を投じたということでは意味があったのかもしせません。でも、その方法を間違えると、前進どころか、後退してしまいます。

何事もルールを守ることと、プロセスを踏むことが結果としては一番の近道だと思いますが。

※写真は聖アグネス教会(京都市上京区)

2017年11月24日 05:42
FP・社会保険労務士事務所  つくるみらい
ファイナンシャルプランナー一柳賢司

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