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昔、自宅の周りには誰も住んでいなかった?

比叡山(20180107)
先日、現在老朽化による整備工事のため休館中の京都市美術館の北、二条通を歩いた時のこと、京都市ではよくある光景を目にしました。一帯をフェンスで囲い、中ではベルトコンベアーで土を外に運び出しています。

そこで行われているのは通称「埋文」、埋蔵文化財調査です。京都市美術館は平安神宮の大鳥居を入った東側にあり、今年の4月から3年間かけて工事が行われます。以前にも建物の正面(西側)で埋蔵文化財調査を行っていましたが、今回は北側、結構大規模な調査をしています。

京都に限らず、土木工事が行われる際には、その土地に埋蔵文化財があると想定される土地(埋蔵文化財包蔵地)である場合には、一定の手続きを踏まなければなりません。京都市の場合、市内に埋蔵文化財包蔵地として指定されている場所は790か所、この地域で一定規模以上の建物の建築や土地の開発を行う場合には、試掘をしなければなりません。

試掘の結果、重要な遺構などが出てきた場合には本格的な発掘調査が開始されます。この調査が終わるまではもちろん工事はできませんので、調査に必要な期間をあらかじめ見込んでおかなければなりません。また調査に必要な費用、屋外での発掘調査にかかる人件費や機材、その後の文化財の整理、報告書の作成に関する費用は、原則として事業主が負担することになっていますよってこの費用も見込んでおかなければなりません。埋蔵文化財包蔵地での工事には、時間とお金が本工事の前に必要ということです。

よく京都市の地下鉄の乗車料金が高い理由、「京都市の地下鉄はヘラで掘ってハケで掃いた」と言われますが、まんざら冗談ともいえません。工事の前には同様に発掘調査が行われており、その期間と費用が少なからず建設費を増大させたといわれています。それが乗車料金にも跳ね返っているのです。

京都市内ではこの発掘調査、最近件数が増えています。京都市のホームページでは事前の試掘でさえ、3~4ヶ月待ちとなっている旨の記載があります。増えている原因の一つがホテルの建設ラッシュ、外国人観光客の増加が、文化財発掘に影響するというのはなんとも不思議な因果関係です。

ちなみに、京都市文化財保護課のサイトからは、埋蔵文化財包蔵地の地図を確認することができます。市内至る所が指定されていますが、私の自宅マンションがある界隈は指定されていません。その昔、誰も住んでいなかった原野だったんでしょうか。

※写真は昨日の比叡山(自宅より)

2018年01月07日 10:36
FP・社会保険労務士事務所  つくるみらい
ファイナンシャルプランナー一柳賢司

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