1日8時間・1週間44時間まで働くことができる事業があります
その例外とは、1週間の労働時間を「44時間」まで緩和できるとされているもので、「特例措置事業場」というものです。労働基準法が想定しているのは、例えば月曜日から金曜日までは1日8時間、土曜日が半日4時間労働というケース。該当すれば土曜日の4時間については残業代を支払う必要はありません。
さてこの「特例措置事業場」とはどのような場合が該当するのか? 労働基準法別表1に定める業種でいう、商業(8号)、映画・演劇業(10号)、保健衛生業(13号)、接客娯楽業(14業)の業種でかつ、使用する労働者の数が10人未満の事業場です。さらにそれぞれを詳しくみると
商業(8号)・・・物品の販売、配給、保管若しくは賃貸又は理容の事業
映画・演劇業(10号)・・・映画の製作又は映写、演劇その他興行の事業
保健衛生業(13号)・・・病者又は虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業
接客娯楽業(14業)・・・旅館、料理店、飲食店、接客業又は娯楽場の事業
となります。もし、特例適用事業とそうでない事業を一緒に行っている場合には、それぞれに従事する従業員数や売上高等によって主たる事業を判断することになっています。
さて、特例措置事業所でも、もし1日8時間を超えれば、1週間の労働時間が44時間以内でも8時間を超えた分は残業代を払わなければなりません。この考え方は通常の場合と同じです。また、この特例措置事業所でも変形労働時間制を適用することは可能ですが、使えるのは「1ヶ月単位の変形労働時間制」と「フレックスタイム制」のみで、「1年単位の変形労働時間制」や「1週間単位の変形労働時間制」を使うことはできません。
特例措置事業所でも、実際には週40時間を超えれば時間外として残業代を支払っている事業所の方が多く、労働者は本来もらえない4時間分の残業手当がもらえる、というメリットを享受していることになります。事業主の判断で44時間を適用し、残業代を支払わないとすることは合法で、いわゆる不利益的変更にはあたりませんが、労働者のモチベーションを下げかねないことです。
労働者からすれば、できればそのままの方がいいですね。
※写真は竹中稲荷神社(京都市左京区)
2018年01月19日 06:14