平成30年度の年金額は現在のままとなります
現行の法律では、年金額は賃金と物価の上昇や下落率、マクロ経済スライドによるスライド調整率によって毎年度見直すことになっています。年金の改定率は、新規裁定者(新たに年金の受給権者となる場合)と、既裁定者(既に年金を受給している場合)によって次のようになります
◇新規裁定者の改定率 賃金の伸び率(名目賃金の変動率)-スライド率
◇既裁定者の改定率 物価の伸び率(物価変動率)ースライド率
ただし、賃金(物価)の上昇率がスライド調整率より小さい場合には、年金額は減額せず据え置き、賃金(物価)自体がマイナスになった場合には、スライド調整率を適用せず、マイナスになった分だけ年金額を減額することになっています。
例えば、以下のようになります。
賃金または物価の伸び | スライド調整率 | 年金改定率 |
---|---|---|
1%上昇 | 0.9% | 0.1%増 |
0.5%上昇 | 0.9% | 0%(据え置き) |
1%下落 | 0.9% | 1%減 |
「マクロ経済スライドによるスライド調整率」とは、公的年金全体の被保険者数、言い換えれば現役世代の人口の減少率と平均寿命の伸び率を踏まえて、年金改定率から「差し引く」ものです。今後少子高齢化の進行によって想定される現役世代の人口減と、平均寿命の延びによる年金受給者の増加を反映させるものです。
平成30年度の年金額を決定する上での各指標は、物価上昇率が0.5%、名目賃金の変動率がマイナス0.4%、スライド率が0.4%。上記の計算式に当てはめると、新規裁定者の改定率がマイナス0.4%、既裁定者の改定率が0.1%となりそうですが、現行法では物価は上昇・賃金は下落の場合、年金額を据え置くというルールがあり、今回はこれに該当することによるものです。ちなみに昨年は、物価上昇率がマイナス0.1%、名目賃金の変動率がマイナス1.1%であったため、例外的に新規裁定分にも物価変動率を用い0.1%の減額となりました。
ところで、平成33年度からは今回のような場合、名目賃金の変動率に併せて、年金額が減額になります。物価が上がっても、現役世代の賃金が下がれば年金が減るということです。今の年金制度は世代間扶養という仕組みであるため、やむを得ないことですが、そもそもこの国の年金制度、私が65歳になったときにはどうなっているんでしょうか。
2018年01月29日 07:03