労働契約・就業規則・労働協約・労使協定とは
【労働契約】
労働者と使用者の間で結ぶ、労働条件等に関する契約のこと。労働基準法に定める基準に達していない部分については無効となり、その部分は労働基準法の定めるところとなります。また、必ず明示しなければいけない「絶対的明示事項」と、定めがある場合に明示すればよい「相対的明示事項」があります。絶対的明示事項には、「始業・終業、休憩・休暇・休日に関する事項」「賃金に関する事項」「退職に関する事項」があります。契約の期間は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(一部例外として5年)を超える期間について締結してはならないこととなっています。
【就業規則】
常時10人以上の労働者を使用する使用者が労働基準法第89条に定める事項について作成し、労働基準監督署長へ届け出る義務があるものです。就業規則にも労働契約と同じように、「絶対的必要記載事項」と、「相対的必要記載事項」があります。使用者は就業規則の作成・変更の際には、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合には、その組合の、ない場合には労働者の過半数を代表する者の意見を聞き、その意見と署名押印を記載して意見書をあわせて届け出ることになっています。ただし、この意見書はあくまでも意見であって、同意を求めることは条件ではありません。反対意見が付されても届け出は受理されます。
【労働協約】
使用者と労働組合の間で、労働条件について協議をし、同意・締結されるものをいいます。内容は就業規則や労働契約と同様に、労働条件について定めるものです。では、労働協約・就業規則・労働契約ではどれが優先されるのか?という疑問がでてきます。これについては、「労働協約>就業規則>労働契約」となり、行政官庁は労働協約に反する就業規則についてはその変更を使用者に命じることができると法で定められています。
【労使協定】
労働協約とよく混同されますが、労使協定は労働条件を定めるものではなく、例えば法律で定める労働時間を超えて労働する場合などに、いわゆる36協定を定めることで違反としない「免罪効果」を得るためのものです。労働協約は使用者と労働組合の間で結びますが、労使協定は就業規則と同じで、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合には、その組合の、ない場合には労働者の過半数を代表する者との間で結びます。
それぞれの違い、はっきりしましたか。労働組合がない企業でも、10人以上の従業員がいれば、就業規則があるはずです。また、原則1日8時間・1週間で40時間以上の労働をする場合には労使協定が必要であり、採用時には労働契約を結び、書面の交付を受けていなければなりません。自分の会社の就業規則、労使協定(36協定)と労働契約書、一度じっくり確認することも重要です。
2018年05月10日 08:43