生命保険の保険料が下がることになりそうです
今回引き下げとなる死亡保険とは、その名の通り被保険者(=保険の対象となっている人)が死亡、あるいは高度障害となったときに、保険金が支払われるものです。死亡保険は、保障期間によって大きく2つに分かれています。一つ目は定期型といい、10年とか20年、あるいは60歳や65歳までと期間を限定して保障するタイプ。2つ目は終身型といって、期間や年齢に関係なく亡くなるまで保障するタイプです。今回保険料が引き下げられるのは前者、つまり定期型の方です。働き盛りの人が契約後10年とか20年、あるいは60歳や65歳で亡くなるリスクは高齢化や医療の進歩によって、昔に比べて小さくなってきています。その分、保険会社の保険金支払額も少なくて済むことになり、それが保険料の値下げに繋がるということが理由です。一方終身型は、時期が遅くなっているということはありますがいずれは人間は死亡し、必ず保険金の支払いは発生します。よって終身型は保険料の値下げとはなり難いのです。
今回の値下げは最大2割程度になるとのことですが、これはあくまでも新たに保険に入る、いわゆる「新契約」に適用され、現在加入している「既契約」には適用されないものと思われます。また、新契約であっても加入する年齢によってその値下げの幅は異なってきますので、あくまでも最大2割であって、すべて2割にはならないということにも注意が必要です。
死亡保険は値下げになりますが、その逆、被保険者が長生きすることで保険会社の支払いが増える保険、例えば医療保険や年金保険といったものは、今後保険料が上がっていくことが想定されます。長生きをすればするほど病気になる機会は増え、また年金の支払い期間も延びていく訳ですから、当然のこととも言えます。結局は、死亡保険と医療、年金保険でマイナスとプラスが相殺されてしまうのでしょうか。
以前にもこのブログでも取り上げましたが、民間の保険会社は「収支相当の原則」に基づいて保険業を営まなければなりません。入ってくる保険料と出ていく保険金のバランスを取ることが求められる訳ですが、公的保険の足りないところ、できないところを埋めるのも民間保険へのニーズの一つ。消費者目線では値下げは嬉しいのですが、保障の質は下がらないならないようにしてもらいたいものです。
※写真は相国寺本堂(京都市上京区)
2018年02月16日 06:27