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黒いものを白くするための制度ではないと思いたいのですが

吉田神社(20180305)
前提となった調査資料のあまりのいい加減さに、とりあえず取り下げざるを得なくなった「裁量労働制」。これまでの経緯からすれば当然とも言えますが、もう一つの目玉である「高プロ(高度プロフェッショナル制度)」、こちらは果たして労働者にメリットはあるのでしょうか。

別名「残業ゼロ法案」とも、「脱時間給制度」とも言われているこの制度。簡単に言ってしまうと、金融ディラーやアナリストといった高度の専門的知識を持った仕事で、所得が1,075万円以上(現時点の想定)の人については、労働基準法に定める労働時間・休日・深夜労働の規程を外す、割増賃金の規定が一切適用されないといった制度です。

「高度の専門的知識」とか、「1,075万円以上」といったキーワードから、おおよそ多くの人は「自分には関係ない」と感じているのではないでしょうか。仮にこの制度が導入された場合、すぐにむやみやたらに適用範囲が広がるといったことはないでしょうが、そもそも適用する場合には事業者側に主導権があります。労働者の同意を得ることが前提にはなっていますが、この国の労使の力関係からすれば、適正に運用されるかどうかは疑問符がつきます。つい最近も、大手企業である野村不動産販売にて、裁量労働制が違法に適用されたことが原因で、過労死が起きていたという報道もありました。高度プロフェッショナル制度の対象となる具体的な業務や収入条件は、厚生労働省が定めるということですが、企業が拡大解釈で範囲を広げて適用することも十分想定されます。また条件の一つである「1,075万円」は、残業代を含めれば範囲は広がり、実は該当するという人は少なくありません。

ここからは私の過去の経験測でもありますが、今回の対象となっている業務についている人の多く、おそらく現時点でも過労死ラインを超える残業をして、それに見合った残業手当が必ずしも支払われていない人が多いのではないでしょうか。今回の「高度プロフェッショナル制度」は、こういった人たちの違法な現状を、合法的にするための法律改正のように思えてなりません。労使双方にメリットがあればいいのですが、ちょっと穿った見方をすると、やはり使用者に偏った法案に見えるのですが、いかがでしょうか。

※写真は吉田神社(京都市左京区)

2018年03月05日 15:21
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ファイナンシャルプランナー一柳賢司

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