国民年金の「任意加入制度」を知っていますか
「任意加入」といっても、20歳から60歳までの強制加入とされている期間について、加入にするかしないかといった選択の余地を与えるという制度ではありません(一部例外はあります)。
この仕組みの目的は次の2つ。
➀将来もらえる年金額を増やすため
65歳から受け取ることができる「老齢基礎年金」は、40年間(480ヶ月)保険料を納めると、満額の77万9300円(平成29年度価格)受け取ることができます。もし、保険料を納めなかった期間があれば、その月数に相当する分年金額は少なくなります。例えば、ちょうど半分の240カ月納付した場合には、年金額は半額となります。こんな場合に、もし年金額を増やしたいという場合には、60歳から65歳歳までの間、任意加入することができます。ちなみに任意加入で1ヶ月分(平成29年度で16,490円)保険料を払うと、増加する年金額は約1,623円、元を取るには約10年、単純に75歳まで生きなければ元が取れません
②もう少しで年金の受け取りが可能な場合に、受給権を取得するため
老齢基礎年金を受け取るためには、最低10年間(120ヶ月)保険料を納付しなければなりません。「もしあと数ヶ月加入すれば、受給権がもらえるのに」という人も少なくありません。こういった人が受給権を取得するために60歳から65歳歳までの間、任意加入することができます。掛け捨て防止策といってもいいかもしれません。
さらに、②の場合で65歳まで加入してもなお受給権を取得することができなかった場合、昭和40年4月1日以前に生まれた人に限り、さらに70歳まで加入することができます(特例加入制度)。ただし、目的が「受給権の取得」であるため、受給権を取得できた時点で任意加入はできなくなります。
最後に任意加入時に注意しなければならないことを2つ。一つ目は、保険料の納付方法が「口座振替」のみであること。二つ目は、繰上げによって年金の受給がすでに開始している場合にはできないということです。60歳になったとき、繰上げによって本来より少ない年金をもらい始めるか、年金額を増やすために任意加入するか、本人のライフプランや健康状態などをよく検討して考える必要があります。
2018年03月08日 09:49