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「懲戒解雇」と「諭旨解雇」の違いを知っていますか

産寧坂の枝垂れ桜(20180326)
「懲戒解雇」と「諭旨解雇」、いずれも解雇という言葉の通り、本人の意思にかかわらず会社から申し渡されるものです。俗っぽく表現すれば「クビ」ですが、この2つの解雇の違い、明確に答えられますか?

「懲戒解雇」とは、労度基準法第19条によって、申し渡す際の一定の制約はありますが、会社が従業員に申し渡す処分で最も重い処分です。「懲戒解雇」の場合、ほとんどの企業では、退職金を支給することはありません。また、労働基準法第20条の規定により「即時解雇」、言い渡されたそのときに解雇となります。「懲戒解雇」となった経歴はその後にも大きな影響を及ぼし、再就職などにも不利益となります。

一方で「諭旨解雇」(ゆしかいこ)とは、読んで字のごとく「退職の主旨を諭して解雇する」というもの。本来は懲戒解雇に値するような事由があるが、本人が反省し、その事由に酌量の余地がある、本人の将来を考慮すると懲戒解雇までは必要ないと会社が判断した場合にされるものです。このような事情がある場合、会社は本人に退職願の提出を求め、それを受理した形で即時解雇となります。懲戒解雇より処分としては一つ手前ですが、大きく違うのは多くの企業の場合、「退職金」を減額して支給することです。よって、例えば定年直前に解雇処分を受ける場合、退職金ゼロと減額支給では、天と地ほどの差が生じます。

ところで、懲戒解雇も諭旨解雇であっても、どちらも「就業規則」にその処分となる事由と、退職金の扱いを規定しておかなければなりません。使用者の匙加減で処分の違いが生じるようなことはあってはならないのです。もし、就業規則で解雇処分が規定されていないにも関わらず、懲戒解雇を実施した場合、その処分の無効を訴えられば使用者に勝ち目はありません。また、仮に規定されていても、拡大解釈で解雇を乱用するようなことも然りです。

場合によっては懲戒処分を行う必要性は当然ありますが、そのためのルールは適正に準備しておくことが必要です。会社の就業規則、今一度確認されてはどうでしょうか。

※写真は清水・産寧坂の枝垂れ桜(京都市東山区)

2018年03月26日 09:05
FP・社会保険労務士事務所  つくるみらい
ファイナンシャルプランナー一柳賢司

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