「安かろう、悪かろう」で片付けられません
とはいえ、そうであってはならないものも世の中には少なからずあります。人の命にかかわるもの、多くの人に影響があるもの、社会を支えるインフラや仕組みにかかるものです。この1週間、森友問題で影が薄くなっていますが、日本年金機構が支給する年金額の過不足に関する事故、結果として「安かろう、悪かろう」として片づけられつつあるように見えます。
日本年金機構のホームページで調達情報に関するページから、今回の入札結果を見ることができます。日本年金機構~(競争入札に係る情報の公表(物品役務等))より
これを見ると、予定価格の75%程度の入札価格で落札されています。もちろん、この業者に支払われる費用のいくらかは、私たちが払った保険料も含まれています。少しでも費用が少なくて済むのが理想的で、予定価格に対して一番安く応札したところの企業に対して発注した日本年金機構も悪いとは言えません。ただ、抜け落ちてしまったのは、その企業がその業務をちゃんとできるかどうかという発注元としての確認作業だったんでしょうね。
結局、受注した企業の不備を後々、再度点検・修正することでコストがかかり、終わってみれば当初の予定価格を超えてしまったでは、本末転倒です。こののち、損害賠償等の話になるのでしょうが、日本年金機構への信頼の低下が気掛かりです。
年金は、国民すべてに影響する非常に大きな問題です。また、私たちが日本年金機構に提出している個人情報も、自分の氏名や住所のみならず、家族の情報や所得、在籍していた大学や会社名など多岐にわたります。マイナンバーの紐付けもされており、ちょっと大げさですが、万が一のときには国民全員の生まれてから今までの履歴情報が洩れてもおかしくない、とも言えます。
「安かろう、悪かろう」で「まぁ、仕方がない」という結論だけは避けていただきたいものです。
※写真は真如堂境内にて(京都市左京区)
2018年03月29日 14:10