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お客様のためか、自己の利益のためか

さくらんぼ(20180525)
今日は、最近あった少し考えさせられるお話しを紹介します。

昨年の末に顧問先となった企業様から、ある日にいただいた問い合わせです。「昨年の春、A会社からの勧誘で助成金申請を依頼したが、その関係で少し助けてほしい・・・」
よくよく伺うと、その助成金の給付申請をするにあたり、最新の就業規則が必要で、その電子データが欲しいとのことでした。実はこちらの企業は、顧問先となった今年初めに就業規則や賃金規定を作成し、管轄の労働基準監督署へ提出していました。そのため、助成金の申込申請時の就業規則が旧のものとなったことによるものでした。

ところでこの旧の就業規則は、よくよく見ると顧問先の就業実態とはおおよそかけ離れているものでした。おそらく助成金申請を生業とするA会社が、簡単な聞き取り調査を元に、あくまでも申請時の添付書類として作成したもの。実態を反映していないばかりか、誤字や脱字、インデントの不揃いなどちょっと首を傾げたくなるような品質のものでした。最新の就業規則を送付するにあたり、顧問先からのご依頼もあって、直接A会社の担当者と連絡を取りあう必要があったため、就業規則の品質について、僭越ながら指摘させていただきました。担当者いわく、作成にあたりアンケート形式の事前調査はしたとのことでしたが、途中の打ち合わせや、完成後の確認などは一切なし。あくまでも助成金申請のための添付資料として作成されたもので、電話を切った後にいろいろと考えさせられました。

助成金の申請に関する書類の作成や届出代行は、社会保険労務士の仕事の一つです。このA会社も常駐はしていないものの、外部の社会保険労務士と提携をしているようなことでした。おそらくこの就業規則も法律が定める最低限を満たすひな型が予め用意されていて、そこに顧客からのアンケート結果を機械的にはめ込んで作成されたのでしょう。全く役に立たないとまでは言いませんが、申請のためだけにその場限りの就業規則を作成し、相応に高い成功報酬を得ることには疑問を感じてしまいます。

顧問先社長に伺うと、A会社に支払う費用は着手金30万円プラス成功報酬(受け取る助成金の20%)とのこと。私の感覚からするとその4分の1程度が妥当なところ。これほどの報酬を受けるであれば、A会社はもっと使える就業規則をご提供すべきだったはずですが、どうなのでしょうか。本来企業や労働者のためにある助成金制度である以上、質を伴わない申請・代行業務には、残念ながら疑問を感じてしまいます。


2018年05月25日 07:21
FP・社会保険労務士事務所  つくるみらい
ファイナンシャルプランナー一柳賢司

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