人口減少社会で避けて通れないこと
記事の主旨では、制度の検討のきっかけになっているのは、人口減少により土地の活用や売却に困る所有者が増えているためとのこと。法律では、「所有者のない不動産は国庫に帰する(民法第239条)」という規定はありますが、土地を手放すということを想定した規定はありません。ただし、理由もなく放棄して経済的な負担を国や自治体に押し付けるという事態を避けるために、放棄には一定の制限(防災上の必要性など)を検討するようです。
この問題、今後人口が減少していく過程では、結果として相続人がいないというのは土地だけではありません。同じ不動産では建物も同様です。相続人がいない=所有者がいないということで、この場合は先の民法の規程により国庫に帰属することになります。建物は利用できなければ取り壊す必要も出てきます。こういった不動産の管理に必要なコスト、今後大きな負担になってくるかもしれません。
既存の公共施設やインフラの維持に必要なコストに加え、所有者がいなくなった不動産の管理のコストは、一方で減少する人口への負担を大きくします。何も手を打たなければ、この国の至る所がゴーストタウン化してしまいます。
少し極論ですが、今後人口減少が進み、土地や建物の所有者が国や市町村に集約されてくるということは、本来入るべき税収(固定資産税)がその分減少することにもなります。というのも、固定資産税は、国並びに都道府県、市町村、特別区には課税されないため。管理するコストは増えるが、その財源が減っていくという負の連鎖、これもいずれ直面する問題ではないでしょうか。
さて、この先どうなっていくのでしょうか。
2018年05月30日 08:01