富士フィルムから学ぶ「先読み」と「応用力」
この企業の最大の強みは、従来持っていたフィルムに関する技術であることは言うまでもありません。でも富士フィルムはいずれカメラがフィルムからデジタルへ変わることをちゃんと見越していたのでしょうか。基幹となっていた技術を縦横に展開・応用し、今や3つの領域に展開するマルチな企業になっています。
その3つとは、従来のフィルムを中心とした「イメージングソリューション」、化粧品や医薬品を中心とした「ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション」、子会社の富士ゼロックスによる「ドキュメント ソリューション」。例えば化粧品では「アスタリフト」というブランド名、テレビCM等で有名ですが、これが富士フィルムが販売する基礎化粧品のブランド名であることを知らない人も多いのです。
この化粧品には、フィルムに利用するコラーゲンに関する技術を応用して開発されたものです。そして富士フィルムは、すでに売り上げではフィルムメーカーではなく、化粧品メーカーといっても過言ではないのです。先ほどの3つの事業の売上比率は順に、16%・41%・43%(同社のホームページより引用)、フィルム分野は2割にも満たないのです。
一つの分野に注力して独占的なシェアを誇る企業はたくさんあります。かつての富士フィルムもフィルムについてはそうでした。がそこに胡坐をかくことなく、次の一手のために持っている技術を最大限応用した、理想的な企業とも言えます。もちろん、このような取り組みは富士フィルムだけではありません。が、先を読み次の一手を打つ千里眼、小さな1事務所の主として持っていたいものです。
2018年06月14日 14:56