「働き方改革」、形はできましたが使い方はこれからのようです
今回の改革でポイントとなるのは、①残業規制と違反したときの罰則化、②高度プロフェッショナル制度の導入の2つです。が、過去に一労働者として民間企業で働いていた経験から見ると、使い方によっては」疑問符がついてしまうというのが個人的な意見です。
1カ月間の労働時間は、労使協定を結べば実質制限なしという現状に比べれば、月45時間を原則とし繁忙期でも月100時間、2~6ヶ月の平均で80時間と一定の制限がかかります。過労死ラインギリギリとはいえ、一定の制限がかかったことは前進ですが、実は適用が遅れる、あるいはそもそも適用されない業種があります。適用が5年遅れるのは、建設・自動車運転・医師の業務。適用が除外されるのが、新技術・新製品の研究開発業務。でもこれらの業種は、今まで長時間労働が前提となっている業種で、これがそのまま例外として残されることになります。また新技術・新製品の研究開発業務については、その定義が不明確であるため、拡大解釈される恐れもあります。
高度プロフェッショナル制度は、年収が高い一部の専門職の労働者に対し、労働時間の規制の対象外とするもの。使用者は時間外勤務や休日・深夜労働に対する割増賃金を支払う必要もなくなります。対象となるのは年収1075万円以上、業種では金融商品の開発・ディーリング業務、研究・開発業務等ですが、詳細は今後厚生労働省令で決まります。採用するには労働者の同意が必要とはされていますが、ここが厳格に適用されることがポイント。そもそも労使間にある上下関係の中で、労働者の自主的な意思が担保されないと意味がありません。
労働時間の規制も、高度プロフェッショナル制度も、適正に利用されれば決して悪法ではないと思います。その名の通り、働き方が大きく変わる可能性があります。ただし、今回の改正では、今後の省令や、労使協議を前提に導入するものが多くあります。形は決まっているが、運用ルールが見えないというのが現状でしょうか。
2018年07月02日 06:41